セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-検診

タイトル 内P-345:

便潜血偽陰性大腸癌による大腸内視鏡検診に必要な条件の検討

演者 松下 功(大阪中央病院・消化器内科)
共同演者 矢間 博貴(大阪中央病院・消化器内科), 片瀬 竜司(大阪中央病院・消化器内科), 下野 沙織(大阪中央病院・消化器内科), 太田 喜久子(大阪中央病院・外科), 濱田 哲宏(大阪中央病院・外科), 谷口 英治(大阪中央病院・外科), 大野 秀樹(大阪中央病院・消化器内科), 大橋 秀一(大阪中央病院・外科)
抄録 【目的】大腸がん検診においては便潜血検査 (FOBT) 偽陰性例が問題であり,FOBTが遂年検診にも関わらず,過去の陰性値の検討は殆どされていない.一方,全大腸内視鏡検査 (TCS) を対策型検診とするには,費用・処理能力等問題点が多い.今回我々は,FOBT偽陰性例の過去の便ヘモグロビン値 (便Hb値) から,TCS検診に必要な条件を検討した.【方法】2007年1月から2011年12月に当院健康管理センターでFOBT 2日法 (免疫法cut-off値 : 100ng/ml) を行い,当院にてTCSを施行した症例を検討した.【成績】FOBTを延べ121,042人 (平均年齢46.0歳,男女比= 1.6 : 1) に行い,陽性6,571人 (要精検率5.4%) で,当院でのTCS施行は1,163例であった.94例に大腸癌 (早期癌79例,進行癌15例) を認め,1,067例には認めなかった.大腸癌を,発見経緯により,初回検診発見45例 (初回検診FOBT陽性でTCSで発見),潜血偽陰性30例 (1又は2年前の検診FOBT陰性でその後検診FOBT陽性となりTCSで発見),精検偽陰性4例 (1又は2年前の検診FOBT陽性もTCSで発見されずその後FOBT陽性や経過観察で発見),精検未受診15例 (1又は2年前の検診FOBT陽性も精検せずその後FOBT陽性や症状で発見) に分類した.各群間で,腫瘍径・部位・深達度に有意差を認めなかった.潜血偽陰性30例の1又は2年前の検診便Hb値 (2値の高い方) の平均は30.3 ng/mlであった.対して,今回FOBT陽性で大腸癌を認めなかった1,067例の1又は2年前の検診FOBT陰性例は625例で便Hb値の平均は14.9 ng/mlと潜血偽陰性群に比し有意に低値であった (p<0.01).潜血偽陰性30例のうち便Hb値31~100ng/mlには11例が該当していた.5年間のFOBT施行例のうち便Hb値31~100ng/mlの8076人 (6.7%)に対するTCS施行で,便潜血偽陰性例大腸癌の減少が期待出来る.【結論】便Hb値31~100ng/mlの症例を次年度にTCS検診とするハイブリッド型検診を行えば,偽陰性例を減少させ,処理能力にも配慮出来る.
索引用語 便潜血偽陰性大腸癌, 大腸内視鏡検診