セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-抗血栓薬

タイトル 内P-347:

大腸腫瘍内視鏡治療後の抗血栓薬再開に関する検討

演者 別府 加寿子(東部地域病院・内科DELIMITER順天堂大・消化器内科)
共同演者 澁谷 智義(順天堂大・消化器内科), 坂本 直人(順天堂大・消化器内科), 長田 太郎(順天堂大・消化器内科), 松本 健史(順天堂大・消化器内科), 寺井 毅(順天堂大・消化器内科), 荻原 達雄(順天堂大・消化器内科), 渡辺 純夫(順天堂大・消化器内科)
抄録 【背景】近年抗血栓薬服用者に対する大腸内視鏡治療が増えており,治療前後の抗血栓薬の適切な休薬期間の設定が求められる.新ガイドラインでは,治療前の休薬に関して抗血栓薬の種類別に,推奨される休薬期間等が規定されているが,治療後の抗血栓薬の再開時期に関しては,後出血との関連性についてさらなる検証が必要である.【目的】大腸腫瘍の内視鏡治療において,治療後の抗血栓薬の種類による再開と後出血の関係を明らかにするとともに,治療後の抗血栓薬の再開が治療から後出血までの期間に関与しているか否か検討した.【方法】1)抗血栓薬の再開と後出血の関係について,患者背景の因子を一致させたcase-control studyを行った.内視鏡治療 (polypectomy,EMR,ESD)を施行した10mm以上の大腸腫瘍1970例のうち後出血を認めた52例を出血群とし,後出血を認めなかった症例のうち出血群と年齢,性を一致させ無作為に選んだ156例を非出血群として対照とした.この2群間で後出血に最も関与する要因を単変量及び多変量解析により検討した.2)後出血例において治療から後出血までの期間をMann-Whitney U testにより検討した.【成績】1)治療後の抗血小板薬の再開,切除方法,腫瘍径は2群間で有意差を認めなかったが,抗凝固薬の再開は出血群(23%)が非出血群(6%)と比べ有意に高率であった.多変量解析では抗凝固薬の再開が後出血と最も高い相関性があった(OR10.1;95%CI 1.05-3.75;p=0.0006).2)後出血までの期間:抗凝固薬再開例が,抗血小板薬再開例および非服用例と比較し有意に長かった(中央値4日VS 2日, p=0.04).【結論】大腸腫瘍の内視鏡治療において,抗血小板薬の再開は後出血の危険因子ではなかったが,抗凝固薬の再開は後出血の独立した危険因子であり,再開例は遅発性出血に注意すべきと考えられた.抗血栓薬ガイドラインにおいて再開時期は抗血栓薬の種類に応じた取り扱いを今後検討することが望ましいと考えられる.
索引用語 内視鏡治療, 抗血栓薬