セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-抗血栓薬

タイトル 内P-350:

抗血栓薬内服患者におけるへパリン置換法下での大腸内視鏡的粘膜切除術後出血の検討

演者 仁部 洋一(東京医歯大・消化器内科)
共同演者 金子 俊(東京医歯大・消化器内科), 竹中 健人(東京医歯大・消化器内科), 後藤 文男(東京医歯大・消化器内科), 岡本 英子(東京医歯大・消化器内科), 加納 嘉人(東京医歯大・消化器内科), 福田 将義(東京医歯大・消化器内科), 新田 沙由梨(東京医歯大・消化器内科), 藤井 俊光(東京医歯大・消化器内科), 齊藤 詠子(東京医歯大・消化器内科), 櫻井 幸(東京医歯大・消化器内科), 岡田 英理子(東京医歯大・消化器内科), 鈴木 伸治(東京医歯大・消化器内科), 荒木 昭博(東京医歯大・消化器内科), 大塚 和朗(東京医歯大・消化器内科), 朝比奈 靖浩(東京医歯大・消化器内科), 渡辺 守(東京医歯大・消化器内科)
抄録 【背景】抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドラインが策定され,抗血栓薬服薬中の血栓リスクの高い患者に対しては,へパリンによる置換が推奨されている.今回,抗血栓薬内服患者における,へパリン置換法下での大腸EMR後出血に関し検討した.【方法】2009年1月~2013年2月迄,当院で大腸EMRを施行した735症例1670病変を対象とした.へパリン置換法群,抗血栓薬中止・へパリン非置換群(中止群),非抗血栓療法群(対照群)について,後出血の割合及びその危険因子を検討した.当院での大腸EMRは,へパリン置換群並びに対照群・中止群それぞれのパスに則って施行され,血栓症のハイリスク群に関しては原病のリスクに応じてへパリン置換法を行った.【成績】検討症例は,へパリン置換法群47症例132病変,中止群109症例275病変,対照群479症例1263病変であった.患者背景は,対照群が若年である他は,性別,処置回数,施行医経験年数に有意な差を認めなかった.各群の後出血発生数はそれぞれ,12例(25%),8例(7.3%),7例(1.3%)で,へパリン置換法群で有意(p=0.02)に高かった.へパリン置換法群で,後出血に関する危険因子に関し,多変量ロジスティック回帰分析を行うと,病理学的悪性度(p=0.003, オッズ比 14.1) ,EMR後病変部へのクリップ施行の有無(p=0.007, オッズ比 0.065)が独立した因子であった.なおへパリン置換法群のうち冠動脈三枝病変を有する慢性腎不全維持透析患者で,急性心筋梗塞により死亡した症例を一例認めた.【結論】大腸EMR後出血は,へパリン置換法群で有意に多かった.また,病理学的悪性度,クリップ施行の有無が独立した因子であった.抗血栓薬治療中の患者における大腸EMRは,出血や血栓症リスクがあり,適応や必要性を検討して施行する必要があると考えられた.
索引用語 大腸EMR, ヘパリン