セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-抗血栓薬

タイトル 内P-351:

抗凝固剤・抗血小板剤内服例における大腸EMR後の偶発症の検討~新ガイドラインの検証~

演者 文野 真樹(済生会和歌山病院・消化器内科)
共同演者 川口 雅功(済生会和歌山病院・消化器内科), 山原 邦浩(済生会和歌山病院・消化器内科), 合田 杏佑(済生会和歌山病院・消化器内科)
抄録 【目的】昨年7月に内視鏡診療における抗凝固剤・抗血小板剤(ACP)取扱いガイドライン(GL)が改定されたが,今回我々は改定前後におけるACP内服例で大腸EMR後の出血や血栓塞栓症など偶発症の発生頻度につき検討を行った.【対象と方法】2004年1月から2013年2月までに施行した大腸EMR1729例のうち,ACPの休薬や継続については,2012年6月以前は旧GLにてそれ以後は新GLに則り対応した.特に低用量アスピリン(Asp)継続が必要な症例では中止することなくEMRを施行した症例も含めた.治療後は止血確認後の再開を指示した上で大腸EMRを行い,必要に応じて止血処置を施行した.後出血の定義は,輸血または止血処置を必要とした症例とした.検討項目(1)ACP服用の有無での後出血率の検討 ACP服用例における危険因子の検討(2)GL改定前後における後出血率の検討(3)血栓塞栓症の発生 【結果】(1)ACP服用例は1729例(男1100 女629)のうち269例 (15.6%)でありAsp継続下での処置例は11例(0.64%).後出血は21例(1.2%)に認められたが全例内視鏡的止血術にて対応可能であり輸血例はなかった.ACP服用例の後出血は5例 (1.9%)と非服用例16例 (1.1%)に比し軽度高かったが有意差は認めなかった.ACP服用例の後出血に影響する因子としてIp型,腫瘍径10mm以上であった.(2)期間別の検討では後出血率は改定前後で有意差は認めなかった.GL改定後においてAsp継続下EMR例では後出血は認めなかった.(3)ACP服用例での治療前後における血栓塞栓症の増悪は全期間を通して皆無であった.【結論】ACP服用例の大腸EMRでは,後出血の頻度が高い傾向にあるが,非服用例と比較し有意差はなかった.特に腫瘍径が大きい例やS状結腸など処置が困難な部位などでは治療後も厳重に経過観察が必要であるがAsp継続例においても後出血は認めず,休薬困難例においてAsp継続による大腸EMRは妥当と考えられ,さらに血栓塞栓症の発症は認めておらず,GL改定後のACPの取り扱いは適切であると考えられた.
索引用語 大腸EMR, 抗血小板薬・抗凝固薬