セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-ESD1

タイトル 内P-352:

大腸ESD困難度に影響を与える因子に関する検討

演者 佐野 亙(佐野病院(兵庫)・消化器センター)
共同演者 久野 寧子(佐野病院(兵庫)・消化器センター), 岩舘 峰雄(佐野病院(兵庫)・消化器センター), 蓮池 典明(佐野病院(兵庫)・消化器センター), 服部 三太(佐野病院(兵庫)・消化器センター), 一柳 明弘(佐野病院(兵庫)・消化器センター), 生本 太郎(佐野病院(兵庫)・消化器センター), 小高 雅人(佐野病院(兵庫)・消化器センター), 佐野 寧(佐野病院(兵庫)・消化器センター), 藤盛 孝博(獨協医大・病理学(人体分子))
抄録 【背景】大腸ESD困難病変とは,ESD施行速度(単位面積あたりの剥離時間)が遅く,ESD施行時間が長く,穿孔率の高い病変である.
【目的】大腸ESD施行速度,ESD施行時間,穿孔率に関与する因子を明らかにすること.
【方法】当院で大腸ESDを行った,2cm以上の腺腫または早期癌で,EMR後再発病変を除き,一括切除可能であった161病変について解析を行った.
【結果】ESD施行速度,ESD施行時間に関連する因子を明らかにするために,年齢,性別,病変部位,肉眼型,癌・非癌,深達度,病変面積を変数として多変量解析を行ったところ,ESD施行速度ではLST-NGと病変面積,ESD施行時間では病変面積のみが抽出された.LST-NGは,ESD施行速度を遅くするためESD困難病変と考えられたが,一方,病変面積が大きくなると,ESD施行時間は長くなるもののESD施行速度は逆に速くなり,大きな病変がESD困難とは必ずしも言えない結果であった.次に,穿孔に関連する因子を明らかにするために,年齢,性別,病変部位,肉眼型,癌・非癌,深達度,ESD施行時間を変数として解析を行ったところ,ESD施行時間のみが抽出された.そこで,ROC曲線から穿孔を起こす危険性のあるESD施行時間のcut-off値を求めたところ99分(正診率85.7%,感度83.3%,特異度85.8%,オッズ比30.2)であった.また,回帰直線からESD施行時間99分に相当する病変面積を求めたところ28.3cm2であり,病変を円形と仮定した場合の病変径は6.0cmであった.
【結語】今回の検討の結果は大腸ESDに対して制限をかけるものではないが,指標として,病変径が6cm以上,ESD施行時間が約100分以上かかることが予想される病変(特にLST-NG)については,穿孔に十分注意しながら上級者が行うか,施設によっては手術も考慮すべきと考えられた.
索引用語 大腸, ESD