セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-ESD1

タイトル 内P-356:

大腸ESD困難例におけるpropofol投与による全身麻酔の有用性

演者 黒羽 正剛(岩手県立胆沢病院・消化器科)
共同演者 木村 智哉(岩手県立胆沢病院・消化器科), 萱場 尚一(岩手県立胆沢病院・消化器科), 市川 遼(岩手県立胆沢病院・消化器科), 永井 博(岩手県立胆沢病院・消化器科), 下山 雄丞(岩手県立胆沢病院・消化器科), 石山 文威(岩手県立胆沢病院・消化器科), 矢口 圭(岩手県立胆沢病院・消化器科)
抄録 propofolは半減期が短く鎮静の維持および覚醒が良好であるが,現在内視鏡治療において広く一般化していない.当院では2012年5月以降大腸ESDを73症例に施行している.術前に困難が予想された3症例にpropofol投与による全身麻酔下で施行しており,その治療成績を報告する.
[術後瘢痕症例]83歳男性.平成14年に直腸癌にて経肛門的部分切除を施行.その後局所再発のため再度経肛門的部分切除を施行された.平成20年直腸の吻合部に再発を認めていたが治療希望がなく経過観察となっていた.平成24年の下部消化管内視鏡検査では再発部分の増大を認め一部肛門管に近接していた.人工肛門増設術の希望がなく十分なICの元ESDを施行した.吻合部周囲の腫瘍は問題なく切開剥離可能であったが吻合部直上は粘膜下層が視認できず剥離不能と判断.焼灼凝固を施行した.手術時間は210分.病理組織検査ではadenocarcinoma with adenomaであった.治療による偶発症は認めなかった.
[巨大病変]71歳女性.検診でFOBT陽性のため全大腸内視鏡検査を施行.盲腸~上行結腸に全周性の扁平隆起性病変(LST-GH)を認めた.病変はBauhin弁まで及んでいたが虫垂開口部付近には認めず.十分なICの元にESDを施行した.治療時間は490分.病理組織結果はadenocarcinoma with carcinomaであった.治療による偶発症は認めなかった.
[考察]平成24年4月より大腸ESDが保険収載され症例の蓄積,デバイスの進歩に伴い大腸ESDの手術時間は短縮する方向にある.ほとんどの病変は通常の鎮静(midazolam)のみで可能であるが巨大な病変や高度な瘢痕症例では長時間の治療となる事が多い.その場合は麻酔科管理の全身麻酔下による治療は術者のストレス軽減,患者の安全管理という点で有用と考えられた.特にpropofolによる全身麻酔は覚醒が良好であり,内科医にとっても術後管理の負担が比較的少ないものと考えられた.術中の体位変換に苦慮する点や,麻酔科,手術室との連携が不可欠である点が今後の課題であると思われた.
索引用語 大腸ESD, プロポフォール