セッション情報 |
ポスターセッション(消化器内視鏡学会)
大腸-ESD2
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タイトル |
内P-357:地域医療における大腸ESDの取り組みについて
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演者 |
前川 智(新潟労災病院・消化器内科) |
共同演者 |
村瀬 貴之(新潟労災病院・消化器内科), 野村 亮介(新潟労災病院・消化器内科), 安 泰善(新潟労災病院・消化器内科), 麻植ホルム 正之(新潟労災病院・消化器内科), 笠井 英裕(新潟労災病院・循環器内科) |
抄録 |
【目的】大腸腫瘍の大半は腺腫であり,その病理学的特性を考慮すると内視鏡的粘膜切除術(EMR)による分割切除で対応が可能であるが,しばしば遺残再発が問題となる.一方,大腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の進歩は著しく,病変の局在,腫瘍径によらず高い一括切除率が得られ,詳細な病理学的検索が行える点で非常に有益な治療と思われる.本発表では,当科の上越地域における大腸ESDの取り組みについて報告する.【対象と方法】当科では,静岡県立静岡がんセンターなどの有名病院で研修し,保険適応になった2012年4月より大腸ESDを開始し,2013年2月までに41例施行した.デバイスは主にdualナイフ(1.5mm)を中心に使用し,必要に応じてITナイフ-nano,SBナイフJrも併用した.なお,大腸ESDの症例数を増やすため,上越地域による開業医の先生向けの研修会や市民公開講座,地元メディアを通じて,当院における大腸ESDについての啓蒙活動を行った.【成績】腫瘍の肉眼形態はLST-G 26例 (63.4%),LST-NG 9例(22.0%),隆起型3例(7.3%),陥凹型1例 (2.4%),SMT様隆起 2例(4.9%)であった.病変部位は盲腸 2例(4.9%),上行結腸 3例(7.3%),横行結腸 7例(17.1%),下行結腸 2例(4.9%),S状結腸 17例(41.4%),直腸10例(24.4%)であった.平均切除径33.0±12.4mm,平均病変径23.7±13.0mm,平均切除時間83.9±56.8min,一括切除率 90.2%(37/41),側方断端陰性率 82.9%(34/41),偶発症は微小穿孔3例(7.3%),後出血0例(0%)であり,大腸ESD導入初期にしては,他施設と遜色ない結果が得られた.また,病理組織結果は,M癌10例(24.4%),SM浅層癌 2例(4.9%),SM深層癌 2例(4.9%),adenoma 25例(60.9%),carcinoid tumor 2例(4.9%) であった.【結論】当院は人口が約20万人の上越市の基幹病院であるが,様々な啓蒙活動を行うことにより,1年間に50例弱の大腸ESDの症例を経験することができた.大腸ESD施行症例では,90%以上の高い一括切除率が得られ,術後QOLの観点からも大腸ESDは有用と思われた. |
索引用語 |
大腸ESD, 地域医療 |