セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-ESD2

タイトル 内P-358:

大腸ESDに対する偶発症対策~クリップ縫縮の有効性~

演者 高橋 昭裕(大森赤十字病院・消化器内科)
共同演者 千葉 秀幸(大森赤十字病院・消化器内科), 河野 直哉(大森赤十字病院・消化器内科), 芦苅 圭一(大森赤十字病院・消化器内科), 関 志帆子(大森赤十字病院・消化器内科), 天野 由紀(大森赤十字病院・消化器内科), 井田 智則(大森赤十字病院・消化器内科), 諸橋 大樹(大森赤十字病院・消化器内科), 後藤 亨(大森赤十字病院・消化器内科)
抄録 (背景と目的)大腸ESDが保険収載となったが難易度が高く周術期の偶発症対策が重要となる.当院での偶発症対策について報告する.(方法)2012年4月より2013年2月に施行された大腸ESD40例を対象.ESD適応は20mm以上の腺腫またはm癌からsm軽度浸潤癌とした.偶発症対策は,1)前処置の徹底(2日前入院で治療前日朝から粥食,前処置不良例は禁食),2)可能な限りクリップ縫縮,3)術後翌々日から食事開始,とした.(結果)患者背景は66.7(36-82)歳,男21/女19であった.病変部位はC7/A4/T7/D7/S5/R10,平均腫瘍径31.2(20-95)mm,平均標本径39.8(23-110mm,一括切除率100%,治癒切除率97.0%(1例sm高度浸潤癌で追加手術),平均術時間43.4(5-190)分,偶発症(出血・穿孔)0例であった.主な縫縮条件は偶発症リスクが高くなると予想される1)筋層露出,2)線維化例,3)止血処置に時間を要した例とした.大きな病変は剥離面辺縁に小切開を置き縫縮した.縫縮は26/40例に施行され,縫縮理由(重複あり)は1)8例,2)5例,3)1例であった.部位別ではC5/A4/T4/D5/S3/R5,縫縮時間は8.4分(3-20)であった.縫縮群(26例)/非縫縮群(14例)とすると,平均標本径35.5/45.9mm,平均術時間38.6/52.4分,術後38℃以上の発熱1/2,WBC 7877/7193(/μl),CRP 0.93/0.89(mg/dl),抗生剤使用5/3,鎮痛剤使用例0/1でありいずれも両群で有意差がなかった.(考察)大腸ESDは偶発症リスクが高く,その対策が重要となるが当院では現時点では偶発症は認めていない.縫縮は上記の縫縮条件のように術中の内視鏡画面に従いリスクを判断しているため,縫縮の有無と腫瘍径や術時間との関連は乏しかった.その結果として,縫縮の有無いずれの群でも,術後の炎症所見,臨床所見等に差がでなかった可能性があるただ当院では大腸ESDは経験を有した術者が単独で行っており,今後新しく開始する術者への指導・リスク管理には十分な教育が必要である.
索引用語 大腸ESD, 縫縮