セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-ESD2

タイトル 内P-361:

地方一般医療機関での大腸ESDの導入の妥当性

演者 新畑 博英(芳賀赤十字病院・消化器科)
共同演者 村山 梢(芳賀赤十字病院・消化器科), 篠崎 聡(芳賀赤十字病院・消化器科), 阿部 康弘(芳賀赤十字病院・消化器科)
抄録 【背景・目的】2012年4月大腸腫瘍に対するESDが保険収載され,条件付きではあるが一般医療機関でも実施可能となった.2012年4月以降,消化器内科常勤3名,病床数350床の地域中核病院である当院で実施した大腸ESD症例についてその疾患背景,偶発症,治療成績を検討し一般医療機関で大腸ESDを実施する妥当性を検討した.【対象】2012年4月~2013年2月までの期間に実施した大腸ESD症例13症例14病変.【結果】平均年齢73.9歳,病変局在:直腸8病変,S状結腸2病変,横行結腸1病変,上行結腸3病変,平均腫瘍径/切除径=30.5×25.5cm/34.3×29.3cm,一括切除率100%,平均治療時間75分,偶発症:出血1症例(輸血なし),小穿孔1症例(クリップおよび保存的治療で軽快).なお,出血症例は抗血小板薬2剤併用症例で同薬を再開した後に出血した.穿孔症例は,SM層に高度の線維化を認めた上行結腸の症例であった.病理組織結果は腺腫5病変,pM癌7病変,pSM癌2病変であった.pSM癌のSM浸潤距離は500μm,800μmでいずれも脈管侵襲陰性であった.【結語】少数例の検討ではあるが,出血および穿孔はいずれも7.1%(1/14)であり,既報と比較し,多い傾向にあるが,症例数が少なく,今後の症例の蓄積により実態は判明すると思われる.ESDによる一括切除率は良好であり,いずれの病変も内視鏡的に根治的切除と判断し,pSM癌についても追加腸切除は行わず,経過観察を行っている.なお,術前精査により内視鏡の操作性が不良であると判断した困難症例は,高次医療機関へ紹介しダブルバールン内視鏡を使用したESDで対応して頂いた.なお同期間に当科から当院外科に内視鏡治療適応外と判断し,紹介した症例は,いずれも病理組織学的pSM1000μm以深の内視鏡治療不可能な浸潤癌であった.困難症例について高次医療機関へ紹介することは,一般医療機関ではリスクマネージメント上も適切であると思われる.当科で実施したESDの治療対象は適切であり,無理なく実施可能な範囲での大腸ESD導入は妥当と考えられる.
索引用語 大腸ESD, 導入