セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-ESD3

タイトル 内P-367:

直腸腫瘍におけるESD -組織学的根拠をもって外科手術へ-

演者 小嶋 裕一郎(山梨県立中央病院・消化器内科)
共同演者 石田 泰章(山梨県立中央病院・消化器内科), 川上 智(山梨県立中央病院・消化器内科), 久野 徹(山梨県立中央病院・消化器内科), 深澤 佳満(山梨県立中央病院・消化器内科), 廣瀬 純穂(山梨県立中央病院・消化器内科), 岩本 史光(山梨県立中央病院・消化器内科), 細田 健司(山梨県立中央病院・消化器内科), 鈴木 洋司(山梨県立中央病院・消化器内科), 望月 仁(山梨県立中央病院・消化器内科), 小山 敏雄(山梨県立中央病院・病理), 小俣 政男(山梨県立中央病院・消化器内科)
抄録 【背景】直腸は解剖学的に肛門からの距離が近いため内視鏡の操作性が良好で, 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は他部位と比較して容易であると考えられる.【目的】直腸ESD実施症例を検討し,その妥当性を検討する. 【方法】2007年1月から2012年12月に実施した当院大腸ESD症例233例中,カルチノイドを除く直腸病変65例,男40例, 女25例, 年齢中央値70歳(38-84歳), を対象に検討した.【成績】病変部位はRs15例(23 %), Ra14例(22 %), Ra-Rb3例(5%), Rb33例(51 %)であった.Rb病変のうち2例は歯状線にかかっていた. 肉眼形態では, LST-G(IIa) 35例(54 %), LST-NG(IIa) 10例(15 %), I型 14例(22 %), I+IIa 3例(5 %), IIa 2例(3 %), IIa+IIc 1例(2 %)であった. 病変長径中央値24mm(6.5-80mm)であった.癌35例,腺腫30例であった.癌病変35例中m病変26例, sm1000μ未満5例, sm1000μm以上4例であった. sm1000μm以上浸潤の4例中2例は追加外科手術, 2例は追加手術を実施することなく経過観察中である. 穿孔・穿通は6例(9.2 %), いずれも保存的に加治療可能であった. また,ESD開始後中止例は2例(3 %)であった.中止例は2例ともにI型病変で, 剥離中に筋層が病変内に立ち上がる所見を認めたため中止となった. いずれも外科手術を追加し組織学的にはともに癌で1例はm癌, 1例はsm浸潤していた. 【結論】直腸ESDは偶発症として穿孔穿通を認めてもいずれも保存的に治療されており, 安全に実施可能と思われた. I型病変に関しては, m病変でも筋層が立ち上がった所見があり注意が必要である. また, 外科手術を実施する根拠となる組織学的深達度が確実に得られるため, この点で外科手術に比較しての利点と思われた.
索引用語 直腸腫瘍, ESD