セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-ESD4

タイトル 内P-371:

先端系ナイフとはさみ鉗子型ナイフの併用とはさみ鉗子型ナイフ単独による大腸ESDの比較検討

演者 野崎 良一(高野病院・消化器内科)
共同演者 大西 敦之(高野病院・消化器内科), 大湾 朝尚(高野病院・消化器内科), 山田 一隆(高野病院・消化器外科)
抄録 【緒言】これまで先端系ナイフとはさみ鉗子型ナイフの併用とはさみ鉗子型単独による大腸ESDの比較検討はほとんどない.そこで先端系ナイフであるDual Knife(DK)とはさみ鉗子型ナイフClutchCutter(CC)の併用とCC単独使用による大腸ESDを比較検討した.【対象および方法】2011年3月から2013年2月までの2年間に当院で施行したCC単独群80例80病変,DK+CC併用群32例32病変を対象とした.粘膜下層への局注液には両群ともムコアップ原液を使用した.高周波発生装置には,VIO300Dを使用した.施行医がスコープ操作,病変の通電切除を行ったが,CCの操作は内視鏡治療に習熟した消化器内視鏡技師が行った.両群の性別,年齢,局在部位,形態,病変の大きさ,ESD完遂時間,切除標本の大きさ,一括切除率,偶発症についてretrospectiveに比較した.【結果】男女比はCC単独群47:33,併用群20:12,年齢はCC単独群67.7±10.6歳,併用群65.5±9.9歳で有意差はなかった.局在部位は併用群がCC群よりも結腸の割合が有意に高かった(CC群65.0%,併用群90.6%)(P=0.0054).形態はLSTの割合が両群とも高かったが(CC群85.0%,併用群93.8%),有意差はなかった.病変の大きさ(最大径)はCC単独群30.2±13.0mm,併用群29.8±10.4mmで有意差はなかった.ESD完遂時間はCC単独群61.2±40.9分,併用群45.0±26.0分で併用群が有意に短かった(P=0.04).切除標本の大きさ(最大径)はCC単独群40.5±13.6mm,併用群40.0±12.9mmで有意差はなかった.一括切除率はCC単独96.3%,併用群100%で有意差はなかった.偶発症(腸管穿孔率)はCC単独1.3%,併用群は0%で有意差はなかった.【結論】両群とも一括切除率が高く,偶発症の発生率は低率であったが,併用群はESD完遂時間がCC単独群より有意に短かった.先端系ナイフ+はさみ鉗子型ナイフ併用は安全性を担保しながら効率化に寄与し,今後大腸ESDの普及に広く推奨される有用性の高い治療法と考えられた.
索引用語 大腸ESD, はさみ鉗子型ナイフ