セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-ESD4

タイトル 内P-372:

肛門脱出を契機に発見され,ESDにて切除された大腸腫瘍の2例

演者 木下 幾晴(国立南和歌山医療センター・消化器科)
共同演者 木下 真樹子(国立南和歌山医療センター・消化器科), 岡 正巳(国立南和歌山医療センター・外科), 中谷 佳弘(国立南和歌山医療センター・外科), 玉置 卓也(国立南和歌山医療センター・外科), 小澤 悟(国立南和歌山医療センター・外科), 田端 宏尭(国立南和歌山医療センター・外科)
抄録 【はじめに】直腸やS状結腸の径の大きな亜有茎性,有茎性のポリープは,時に肛門より脱出し発見されることがある.今回我々は,肛門脱出を契機に発見され,ESDにて治癒切除をした2例を経験したため報告する.【症例1】84歳男性,夕食後に便意がありトイレでいきんだところ下血し近医受診.陥頓性内痔核,止血困難とのことで当院紹介された.脱出していたのは腫瘍であり,用手的に直腸内に還納.後日の内視鏡検査にてRaに4cm超のIspポリープを認め,スネアリング困難であることからESDにて一括切除施行した.病理結果はTubullovillous adenoma,high gradeであった.【症例2】66歳女性,排便時にポリープが脱出したとのことで他院より紹介.下部消化管内視鏡検査にて,S状結腸に4cm大のIpポリープを認め,スネアリング困難であること,仮にスネアリングできたとしても太い茎の切離の際に出血が予想されることから,ESDにて切除した.茎内の太い血管は焼灼処理し,安全に切除可能であった.病理結果はAdenocarcinoma in adenoma,pMであった.【考察】肛門脱出を来す亜有茎性,有茎性の巨大なポリープは,その可動性の良さから癌であっても粘膜癌の可能性があり,内視鏡治療を試みうる病変と思われる.しかし,そのような病変は腫瘍を栄養する血管径が太く,従来のEMR,ポリペクトミーではスネアリングができたとしても,留置スネアや前掛けクリップなどの止血予防処置が困難で,切除時の出血の危険性が問題となる.文献的には,肛門脱出を来す腫瘍については2.5cmで適応とするとの報告もある.しかしESDは大きさに関係なく切除可能であり,血管をその都度処理できるため,より安全に内視鏡切除が可能であった.また,腫瘍自体の重量があるため,剥離の際のtensionが効きやすい印象であった.【結語】亜有茎性,有茎性のスネアリング困難な病変に対して,ESDは有用である.若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語 大腸ESD, 肛門脱