セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-鋸歯状病変1

タイトル 内P-375:

大規模コホートを用いた高齢者大腸癌と大腸鋸歯状病変の分子病理学的検討

演者 沼田 泰尚(札幌医大・1内科)
共同演者 能正 勝彦(札幌医大・1内科), 五十嵐 央祥(札幌医大・1内科), 伊藤 美樹(札幌医大・1内科), 内藤 崇史(札幌医大・1内科), 三橋 慧(札幌医大・1内科DELIMITER恵佑会第2病院・消化器内科), 三上 雅史(札幌医大・1内科DELIMITERJR札幌病院・消化器内科), 高橋 大賀(札幌医大・1内科), 吉井 新二(NTT東日本札幌病院・消化器内科), 高橋 宏明(札幌医大・1内科DELIMITER恵佑会第2病院・消化器内科), 久須美 貴哉(恵佑会札幌病院・外科), 細川 正夫(恵佑会札幌病院・外科), 山本 英一郎(札幌医大・1内科), 山下 健太郎(札幌医大・1内科), 有村 佳昭(札幌医大・1内科), 青木 敬則(手稲渓仁会病院・消化器内科), 野村 昌史(手稲渓仁会病院・消化器内科), 山本 博幸(聖マリアンナ医大・消化器・肝臓内科), 平田 公一(札幌医大・1外科), 篠村 恭久(札幌医大・1内科)
抄録 【目的】本邦では近年,高齢者の右側結腸癌の増加が報告されている.また大腸鋸歯状病変のsessile serrated adenoma (SSA) は右側結腸に好発し,BRAF変異やMSIの頻度が高いことからその前癌病変として注目されている.しかしながら本邦で多症例の高齢者大腸癌や鋸歯状病変の分子病理学的特徴を解析した報告はない.よって我々は1492例の大腸腫瘍を対象にそれらの検討を行った.【方法】鋸歯状病変387例(過形成性ポリープ 140例,SSA 128例,鋸歯状腺腫 119例)と通常腺腫(230例),癌(875例)の臨床検体を用いて,その臨床病理学的特徴とKRAS,BRAF,PIK3CA変異,MLH1メチル化,MSIを検討した.【成績】高齢者(75歳以上)の癌は全大腸癌の26%(224例)で認められ,高齢者癌の45%が右側結腸,56%が女性,BRAF変異は9%(非高齢者では右側結腸33%,女性36%,BRAF4%)でいずれも非高齢者と比べ,有意差を認めた.また128例のSSAのうち高齢者は13例(10%)で全例右側結腸であった.また高齢者SSAのMLH1メチル化は38%,MSIは23%(非高齢者でそれぞれ9%,2%)で非高齢者SSAと比べ,有意に高頻度であった.一方,高齢者のSSA以外の前癌病変では分子異常の頻度は非高齢者と比較して有意差を認めなかった.【結論】本邦の高齢者大腸癌は右側結腸,女性の割合が多く,BRAF変異の頻度も高いことが明らかとなった.また高齢者SSAは遺伝子異常が高頻度で癌化の危険性が高く,またそれらのすべてが右側結腸であったことから,高齢者の内視鏡検査では深部大腸の詳細な観察が必要と考えられた.
索引用語 大腸鋸歯状病変, 高齢者大腸癌