セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-鋸歯状病変1

タイトル 内P-376:

内視鏡的にII型腺口形態を示す大腸鋸歯状病変における臨床病理学的・分子生物学的所見に関する検討

演者 新村 健介(昭和大・消化器内科)
共同演者 小西 一男(昭和大・消化器内科), 矢野 雄一郎(昭和大・消化器内科), 片桐 敦(昭和大・消化器内科), 久保田 祐太郎(昭和大・消化器内科), 村元 喬(昭和大・消化器内科), 木原 俊裕(昭和大・消化器内科), 小林 祥也(昭和大・消化器内科), 東條 正幸(昭和大・消化器内科), 紺田 健一(昭和大・消化器内科), 田川 徹平(昭和大・消化器内科), 矢持 淑子(昭和大・臨床病理診断学), 吉田 仁(昭和大・消化器内科)
抄録 【目的】内視鏡的に工藤分類II型pitを観察された大腸鋸歯状病変における臨床病理学的及び分子生物学的所見を検討する.【方法】インジゴカルミン撒布下観察で工藤分類のII型pitを認め,内視鏡的に切除された大腸鋸歯状病変(SP) 136病変を対象とした.Sessile serrated adenoma(SSA)とTraditional SA(TSA)の診断については大腸癌研究会及びLongacreらの診断基準に準拠し,Hyperplastic polyp (HP) についてはWHO分類に準じてMicrovesicular type (MVHP), Goblet cell-rich type (GCHP),Mucin poor typeに亜分類した.分子生物学的にはKRAS・BRAF変異とCpG island methylator phenotype (CIMP)の有無について検討した.【成績】SP病変は,病理組織学的にSSA60病変,TSA21病変,MVHP43病変,GCHP12病変に分類された.SSA・TSAは他病変群に比べ右側大腸に高率に認められた(P < 0.01).BRAF変異の頻度は,GCHP病変に比べその他の病変群で有意に高かった(TSA 57%, SSA 54%,MVHP 49%, GCHP 9%).さらに,CIMPの頻度は,GCHPに比べSSA・TSAで有意に高率であった(TSA 52%, SSA 48%, MVHP 30%, GCHP 0%)(P < 0.05).また,SSA・TSA及びMVHPを右側・左側大腸病変の2群に分けて検討すると,右側大腸病変では表面隆起型を高率に認めたのに対し,左側大腸病変では隆起型を多く認めた.CIMPの頻度は,左側大腸病変に比べ右側大腸病変で有意に高率であった(55% vs. 16%, p < 0.05).【結論】II型pitを示す大腸鋸歯状病変では右側大腸と左側大腸において異なる臨床病理学的・分子生物学的特徴を有し,右側大腸ではMVHPからSSA・TSAを介した発癌経路が存在する可能性が推定された.
索引用語 大腸鋸歯状病変, 臨床病理学的・分子生物学的所見