共同演者 |
鶴田 修(久留米大・消化器病センター内視鏡診療部門), 河野 弘志(久留米大・消化器内科), 長谷川 申(久留米大・消化器内科), 有田 桂子(久留米大・消化器内科), 前山 泰彦(久留米大・消化器内科), 野田 哲裕(久留米大・消化器内科), 安元 真希子(久留米大・消化器内科), 秋葉 純(久留米大・病理学), 光山 慶一(久留米大・消化器内科), 佐田 通夫(久留米大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】鋸歯状病変を背景とした大腸癌の内視鏡診断の可能性を探る. 【方法】当大学病院および関連施設において内視鏡的または外科的に切除され, 病理組織学的に鋸歯状病変と診断された207病変(HP:67病変, SSA/P:67病変, TSA:48病変, SSAP+TSA:8病変, 癌:17病変)を対象とし, 内視鏡所見と病理組織診断との関係を検討した. 病理診断基準はLongacre, Yaoらに従った.検討項目はA-a.癌を併存しない病変との比較として年齢, 性別, 肉眼型, 部位, 大きさ. A-b.癌併存病変のみの検討で, 背景病変, 背景病変別の病変径, 肉眼形態別の背景病変と浸潤度と組織型, 粘液形質, Ki-67染色による増殖帯の分布. B.鋸歯状病変を併存する大腸癌の内視鏡所見(癌を併存しない鋸歯状病変と比較した)について, 粘液付着の有無, 色調, 陥凹の有無, 二段隆起の有無, NBI所見, pit pattern.について検討した.【結果】A-a. 癌併存病変では癌を併存しない病変よりも有意に年齢が高く, 大きさが大きかった. A-b. 背景病変はSSA/P, TSA, HPの順に多かった. 背景病変別の病変径に有意は認めなかった. SSA/Pを併存する癌はTSAを併存する癌に比べ, 深達度が深い病変が多かった. HP, SSA/Pに併存する癌の粘液形質は胃+大腸型が多いが, TSAに併存する病変では胃+大腸型は半数であった. Ki-67染色の増殖帯は, HP部とSSA/P部では下部~中部に, TSA部では上部~中部に多く分布したが, 癌部ではすべて粘膜面の全体に分布した. B. 癌を併存する鋸歯状病変は癌を併存しない鋸歯状病変と比較し, 有意差を持つ所見として, 発赤, 陥凹, 二段隆起, NBIでの佐野分類CP-typeIII, pit patternでのV型pitが挙げられた【結語】鋸歯状病変を併存する大腸癌の内視鏡診断の可能性はかなり高い. |