セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-鋸歯状病変2

タイトル 内P-379:

serrated lesionにおける拡大内視鏡観察の必要性

演者 千野 晶子(がん研有明病院・消化器内科)
共同演者 鈴木 翔(がん研有明病院・消化器内科), 谷口 智香(がん研有明病院・消化器内科), 菅沼 孝紀(がん研有明病院・消化器内科), 岸原 輝仁(がん研有明病院・消化器内科), 浦上 尚之(がん研有明病院・消化器内科), 為我井 芳郎(がん研有明病院・消化器内科), 五十嵐 正広(がん研有明病院・消化器内科), 山本 智理子(がん研有明病院・病理部)
抄録 [背景] 大腸癌の発癌過程として,近年,serrated neoplastic pathwayが注目されている.従来は通常内視鏡観察でhyperplastic polyp(HP)とひとまとめにされていた病変群に多くのserrated lesion(SAL)が含まれ,なかでもsessile serrated adenoma/polyp(SSAP)においては,MSI-H大腸癌の前駆病変との類似より生物学的悪性度が見直されている.よって,serrated lesionの詳細な質的診断の必要性があると考える.[目的]SAL (HP・SSAP・Traditional serrated adenoma(TSA))に併存する癌の頻度を比較.さらに,SALにおける拡大観察の有用性について検討.[方法]2005年3月~2011年12月にpolypectomyまたはEMRで切除され(鉗子切除,Hot biopstを除く),初回診断がserrated lesionであった1,673病変を,1名の病理指導医による見直しで再評価し前述の3つに分類した.(Mixは省く)各群と同期間に摘除したConventional adenoma(CAD)の併存癌の頻度も集計した.HPとSSAPの鑑別法として,臨床情報・通常観察・NBI拡大観察・pit patternで有用な手段を検討した.[結果] HP;1,001病変の併存癌は1件(0.1%),SSAP;492病変では5件(1%),TSA;180病変では2件(1%)CAD;18,683病変では1,146件(6%)であった.HPとSSAPの鑑別法で,性別や年齢は傾向のみで,腫瘍径と部位には差を認めた.通常観察はHPはほぼ単一である事が多く,NBI拡大観察では併存癌以外に差なし.pit patternは様々なII型類似pitに代表される所見の評価や単一ではない事で鑑別が可能であった.[結論]SSAPの併存癌の頻度は,悪性度の検討を除けばCADに比して低い結果で,HPにおいては稀少であった.拡大内視鏡観察が大腸癌の量的診断のみならずSALの鑑別においても診断学の確立が必要であると考えられた.
索引用語 serrated lesion, 拡大内視鏡