セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-ステント2

タイトル 内P-394:

悪性大腸狭窄に対するMetallic stent留置術の検討

演者 藤田 勲生(国立福山医療センター・消化器科)
共同演者 豊川 達也(国立福山医療センター・消化器科), 表 静馬(国立福山医療センター・消化器科), 岡本 明子(国立福山医療センター・消化器科), 宮阪 梨華(国立福山医療センター・消化器科), 渡邊 一雄(国立福山医療センター・消化器科), 寺尾 正子(国立福山医療センター・消化器科), 村上 敬子(国立福山医療センター・消化器科), 友田 純(国立福山医療センター・消化器科)
抄録 悪性大腸狭窄に対するself-expanding metallic stent (SEMS)留置は,イレウス管にかわる術前の腸管減圧の手段として,また外科治療が困難な患者の緩和目的としての腸管減圧術として期待されている.今回我々は,悪性大腸狭窄に対してSEMS留置を行った4例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例1は88歳男性.S状結腸癌による腸閉塞に対して,下部イレウス管挿入による腸管減圧後にSEMSを留置した.認知症もあるため外科治療を行わず経過観察したところ,留置後に排便状態は良好となり腸閉塞も改善したが,留置30日後に転院先の病院で永眠された.症例2は51歳女性.下剤内服後より少量の下痢便と嘔吐を自覚し受診した.S状結腸癌による通過障害に対してSEMSを留置した.留置後は腹痛や嘔吐などの自覚症状は改善し,14日後に腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した.切除標本では,びらんや浅い潰瘍が多発していた.症例3は78歳女性.腹部膨満感と腹痛を自覚し受診.CTにてS状結腸癌による腸閉塞を認めたためSEMSを留置した.留置後は排便状態も改善し,自覚症状は消失した.留置後15日目に腹腔鏡下前方切除術を施行し,切除標本では病変より口側にUL-III程度の潰瘍を認めた.症例4は51歳女性.下腹部痛と嘔気を自覚し受診.CTにてS状結腸癌による腸閉塞を認めた.下部消化管内視鏡検査では,RS部に全周性狭窄をきたした大腸癌を認めたため,同部位にSEMSを留置した.留置後には排便を多量に認め,自覚症状も改善した.留置後12日目に腹腔鏡下高位前方切除術を施行した.当院で悪性大腸狭窄に対して施行した全例でSEMS留置が可能であった.留置時の偶発症もなく,留置後は全例で良好な減圧が得られた.また,腸管減圧や腸管浮腫が軽減されたことにより腹腔鏡下手術が可能であった.しかし,切除標本では潰瘍形成を認めており,留置方法や姑息的留置の場合の長期予後については,さらなる検討が必要であると思われた.
索引用語 大腸癌, ステント