セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-ステント2

タイトル 内P-396:

直腸結腸癌による腸管閉塞に対する術前腸管減圧を目的とした大腸金属ステント挿入の有用性について

演者 松田 耕一郎(富山県立中央病院・内科)
共同演者 酒井 明人(富山県立中央病院・内科), 野田 八嗣(富山県立中央病院・内科)
抄録 【目的】Bridge to Surgery( BTS )としての直腸結腸癌による腸管閉塞に対する術前腸管減圧を目的とした大腸金属ステント(MS)挿入の有用性について検討した. 【対象】2012年4月より直腸結腸癌による腸管閉塞に対して術前腸管減圧を目的として大腸MSが挿入された14例を対象とした.平均年齢68歳(51~83),男女8:6,PSは0が 7例,1が 5例,2が 2例,狭窄部位は直腸3例,S状結腸6例,下行結腸5例であり,進行度(大腸癌取扱い規約第7版)はStageIV8例,StageIIIa 3例,StageII3例で術前化学療法を施行した例は認めなかった.大腸MSは経内視鏡的に挿入可能であるSelf Expandable Metallic Stentを使用した.閉塞症状の評価には大腸ステント安全手技研究会で提案されているCROSS:ColoRectal Obstruction Scoring System (大腸閉塞スコア)を用いた.【結果】大腸MSの留置成功率は100%であり,14例のうちで3例(21.4%)では閉塞性腸炎のために大腸MS挿入前に下部イレウス管での減圧を必要とし,CROSSの改善を待ち大腸MSを挿入した.大腸MS挿入時のCROSSは0が2例,1が9例,2が1例,3が2例であった.大腸MS挿入から外科手術までの中央値は10日であり,1例では狭窄長が長く大腸MSを3本必要とした.大腸MS挿入後はCROSS2が4例,CROSS3が1例,CROSS4が9例と全例で閉塞症状の改善を認めた.合併症としては,大腸MS逸脱や穿孔は認めなかった.輸血を必要としない軽度の下血8例(57.1%),軽度の腹痛7例(50%)と発熱2例(14.3%)に認めたが,いずれも一過性で対症療法にて軽快した.術後から退院までの中央値は17日(11~25日)であり,術後合併症は吻合部の出血を2例(14.3%),軽度の腸管麻痺を1例(7.1%)に認めたのみであった.【結論】BTSを目的とした大腸MS挿入は,病態に応じ適切に行えば,比較的安全に腸管減圧が可能となり,術前の患者QOL改善と術中術後の合併症減少に有用と思われた.
索引用語 大腸ステント, Bridge to Surgery