セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-診断・治療1

タイトル 内P-419:

肛門管に伸展した直腸上皮性腫瘍に対するESDの治療成績

演者 今井 健一郎(静岡がんセンター・内視鏡科)
共同演者 堀田 欣一(静岡がんセンター・内視鏡科), 山口 裕一郎(静岡がんセンター・内視鏡科), 角嶋 直美(静岡がんセンター・内視鏡科), 滝沢 耕平(静岡がんセンター・内視鏡科), 田中 雅樹(静岡がんセンター・内視鏡科), 松林 宏行(静岡がんセンター・内視鏡科), 小野 裕之(静岡がんセンター・内視鏡科), 篠原 知明(佐久総合病院・胃腸科), 大岡 正平(東芝林間病院・消化器内科), 篠木 啓(東芝林間病院・消化器内科)
抄録 【目的】肛門管に伸展する直腸上皮性腫瘍に対する内視鏡治療は狭い管腔による不良な視野,直腸静脈叢からの出血などのため,技術的難易度が高く,扁平上皮下の感覚神経を介した疼痛の問題もあり,経肛門的腫瘍切除術が選択されることが多かった.内視鏡治療技術の進歩により,近年では内視鏡治療を施行することが増えてきたが,治療成績に関する報告は少ない.目的はESDの治療成績,局所再発率を検討することである.【方法】2002年10月から2012年7月までの期間に当院,及び関連施設において,肛門管に伸展した直腸上皮性腫瘍に対してESDを施行された45症例45病変を対象とし,臨床病理学的特徴,ESD治療成績,局所再発率を遡及的に検討した.【成績】対象の肉眼型は隆起型11病変,側方進展型34病変で,平均腫瘍径は38.4mm (9-80)であった.ESD後病理結果は腺腫17病変,粘膜内癌21病変,粘膜下層浸潤癌7病変であった.平均術時間は140分(25-420)で,16例 (35%)に出血点が視認困難な術中出血を認め,粘膜下層が視認困難な高度線維化を5例 (11%)に認めた.一括切除率は95% (43/45)で,術中穿孔と高度線維化による途中中止となった2例で分割切除となった.術中穿孔例では保存的加療後,再度EMRを施行し,局所制御可能であった.術後出血を2例に認めたが,内視鏡的に止血可能であった.術後肛門痛を12例 (27%)に認め,うち4例に鎮痛剤投与を要したが,退院時には全例で症状は改善していた.術後在院日数中央値は3日 (2-11)であった.術後狭窄を1例に認めたが,拡張術を施行することなく症状は改善した.高度線維化による途中中止例(1例)と粘膜下層高度浸潤例(2例)の3例に追加外科切除を施行した.観察期間中央値13ヶ月(1-77)で局所再発を認めていない.【結論】肛門管に伸展した直腸上皮性腫瘍に対するESDは安全に施行可能で治療成績も良好であった.
索引用語 ESD, 直腸癌