セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-内視鏡診断

タイトル 内P-422:

NBI拡大観察による早期大腸癌深達度診断と診断困難例についての検討

演者 鎮西 亮(さいたま赤十字病院・消化器内科)
共同演者 笹島 圭太(さいたま赤十字病院・消化器内科), 高橋 正憲(さいたま赤十字病院・消化器内科), 大津 威一郎(さいたま赤十字病院・消化器内科), 土井 浩達(さいたま赤十字病院・消化器内科), 熊谷 純一郎(さいたま赤十字病院・消化器内科), 塩屋 雄史(さいたま赤十字病院・消化器内科), 大島 忠(さいたま赤十字病院・消化器内科), 甲嶋 洋平(さいたま赤十字病院・消化器内科)
抄録 【目的】NBI拡大観察による早期大腸癌の深達度診断への有用性,着目すべき所見ならびに診断困難例についての検討を行った.【方法】対象は,2007年5月から2013年1月までに内視鏡的あるいは外科手術的に切除された早期大腸癌601病変.内訳は粘膜内癌447病変,SM浅層癌は64病変,SM深部浸潤癌は90病変であった.NBI拡大観察は佐野分類に準じ,Capillary pattern (CP) type IIIBをSM深部浸潤癌の指標とした.また微細血管の“口径不同”,“Long irregular vessel”,“血管密度低下”をtype IIIBに含まれる高度不整所見とし,解析を行った.色素拡大観察は工藤分類に従い,VI高度不整 (VI-H) とVNをSM深部浸潤の指標とした.拡大観察診断は病理診断との比較が行われた.【成績】SM深部浸潤癌に対する感度,特異度,陽性適中率,陰性適中率は,CP type IIIBでは66.7%,98.8%,90.9%,94.4%であり,Pit pattern VI-HとVNでは78.9%,98.6%,91.0%,96.4%であった.口径不同,Long irregular vessel,血管密度低下のSM深部浸潤癌に対する特異度はそれぞれ99.2%,99.8%,99.6%であった.SM深部浸潤癌におけるいずれかの高度不整所見陽性率は,隆起型で63.3%,平坦型で36.4%,陥凹型で86.8%であった.NBI拡大観察にてCP type IIIAと浅読み誤診したSM深部浸潤癌は30病変存在したが,色素拡大観察ではPit pattern VI軽度不整 (VI-L) が19病変,VI-Hが11病変であった.IIIA+VI-L 19病変中14病変 (73.7%) の粘膜筋板が保持されていたのに対し,IIIA+VI-H 11病変においては7病変 (63.6%) で粘膜筋板が高度破壊されていた.IIIA+VI-L 19病変中11病変 (57.9%) が平坦型腫瘍であり,全例で粘膜筋板が保持されていた.【結論】NBI拡大観察における高度不整所見はSM深部浸潤癌に特異的であり,有用性が示唆された.NBI,色素拡大観察ともに深達度診断が困難な症例には平坦型腫瘍が多く,粘膜筋板が保持されたままのSM深部浸潤が見られた.
索引用語 早期大腸癌, NBI拡大観察