セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-内視鏡診断

タイトル 内P-425:

大腸腫瘍性病変のNBI拡大観察の有用性と問題点

演者 井出 大資(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科DELIMITER東京慈恵会医大・内視鏡科)
共同演者 斎藤 彰一(東京慈恵会医大・内視鏡科), 猪又 寛子(東京慈恵会医大・内視鏡科), 大谷 友彦(東京慈恵会医大・内視鏡科), 玉井 尚人(東京慈恵会医大・内視鏡科), 田尻 久雄(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科DELIMITER東京慈恵会医大・内視鏡科), 池上 雅博(東京慈恵会医大・病院病理部)
抄録 【目的】NBI拡大観察は色素拡大観察を行う前段階での振り分け手段として,治療法選択のための精査として確立されつつある.【方法】当院で切除が施行された700病変(うち早期大腸癌407病変)を対象とした.SM浸潤距離1000μm未満をSM slight(以下SM-S)癌,以深をSM massive(SM-M)癌とした.NBI拡大観察下における血管模様の分類は走行が認識されない1型,血管径が軽度拡張する2型,血管拡張が著明な3型,血管分布が疎で走行がおえない4型とした.3型は絨毛状構造を呈すると考えられる間質に一致して拡張血管が規則的に走行する3V(Villous)型と,走行に不規則性を伴う3I(Irregular)型に二分した.【成績】内訳は1型で85.9%が鋸歯状病変(10mm以上)であった.2型では54.5%が腺腫,35.7%が粘膜内癌(M-Ca),4.1%がSM-S癌,1.7%がSM-M癌であった.3V型では66.9%がM-Ca,17.4%が腺腫,11.4%にSM癌がみられた.一方,3I型ではM-Caは22.6%で,半数以上の症例でSM癌であった.血管模様分類におけるsurface patternの残存の有無では,2型と3V型では全例でsurface patternが観察可能で,3I型では63.4%の症例で確認され,4型では94.4%の症例で消失していた.【結論】NBI拡大観察において,腫瘍表層部の組織性状の把握が容易に行えると考えられた.併せてsurface patternの残存の有無を観察し,より簡便に深達度診断が行えることが期待できる.特に3I型を呈する病変では,血管走行が残存していても約半数が外科切除の対象となる病変で,色素拡大観察を含めたより詳細な術前精査が必要と考えられた.しかしながらPit pattern観察と同様で,腫瘍表層部の組織性状を反映しており,粘膜内病変が残存する傾向が強いSM浸潤癌,特に表層拡大型腫瘍(非顆粒型)では,血管模様が2型であってもSM深部浸潤をきたす傾向がみられ,このような症例の正診を目指すにはより慎重な観察が必要と考えられた.
索引用語 大腸腫瘍, NBI