セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-出血1

タイトル 内P-428:

ショックをきたす大腸憩室出血の出血部位同定におけるマーキングクリップ法の提案

演者 楠本 聖典(丹後中央病院・消化器内科)
共同演者 濱田 暁彦(丹後中央病院・消化器内科), 水本 吉則(国立京都医療センター・消化器科)
抄録 【背景】大腸憩室出血はしばしば緊急内視鏡検査の対象となり,前処置不良下での内視鏡検査では出血部位の同定は困難で再出血率も高く,時に出血性ショックをきたすこともある.止血術としてクリップ法などの内視鏡的治療法が第一選択であるが,出血部位が同定できずショックをきたすような動脈性出血を呈する場合の治療法が問題となる.【目的】当院での大腸憩室出血に対する治療法とショックをきたす場合の出血部位の同定と治療法を検討した.【対象】2011年1月から2012年2月まで当院での下部消化管出血に対する緊急内視鏡検査は19症例に対し計28回であった.その内訳は大腸憩室出血:7例に対し計13回,EMR後出血:5例に対し計5回,急性出血性直腸潰瘍:2例に対し計5回,放射線性直腸炎:1例に対し計1回,虚血性腸炎:1例に対し計1回,吻合部潰瘍:1例に対し計1回,前立腺生検後出血:2例に対し計2回であった.また同期間における当院での大腸憩室出血症例は全部で10症例で,ショックを呈した例は2例であった.【治療成績】大腸憩室出血10例の治療成績は自然止血症例:6例,クリップ法止血症例:2例,外科手術症例:2例で,ショックを呈した2例は全て外科手術となった.外科手術例は入院経過中に何度も出血性ショックをきたしたが出血を疑う部位に憩室が多数あったこと,検査時には自然止血してしまったことから出血部位が同定できなかった.そこで出血部位と疑う辺りに一定間隔でクリッピングを施行した後,再出血を認めた段階でダイナミックCT検査を施行した.extra-vasationとクリップの位置関係を確認することで捜索すべき範囲が絞れ2例ともに出血部位の同定が可能となった.最終的に内視鏡的止血は困難であったが最小範囲で外科切除が可能となった.【結語】マーキングクリップとダイナミックCT検査を併用するマーキングクリップ法がショックをきたす大腸憩室出血の出血部位の同定に有効と考えられたため報告する.
索引用語 大腸憩室出血, 診断