セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-出血3

タイトル 内P-438:

内視鏡から見た透析患者における下部消化管出血の現状と問題点

演者 曽我 幸一(西陣病院・内科)
共同演者 小林 由佳(西陣病院・内科), 稲垣 恭和(西陣病院・内科), 金光 大石(西陣病院・内科), 竹中 信也(西陣病院・内科), 坂本 京子(西陣病院・内科), 葛西 恭一(西陣病院・内科), 柳田 國雄(西陣病院・内科), 伊谷 賢次(西陣病院・内科)
抄録 【背景・目的】当院は約350名が維持透析を行う医療機関である.内視鏡から見た透析患者における下部消化管出血の現状と問題点を検討した.【対象】2008年10月から2013年2月まで,下部内視鏡検査を行った透析患者80名(述べ112回)平均年齢71.17歳(46-89歳),透析期間2301.1日(12-13765日),男女比=47:33.原疾患は糖尿病性腎症32名,慢性糸球体腎炎30名,腎硬化症7名,その他11名.同検討期間における112回の下部消化管内視鏡検査において,内視鏡から見た透析患者における下部消化管出血の現状と問題点を検討した.【結果】80名の検査目的は57.5%(46/80)が下部消化管出血を訴えた顕性出血精査であった.出血精査46名のうち,出血源を確認できたのは67.4%(31/46)で,止血処置を行ったのは9名であった.出血が確認できた31例の出血源は,急性出血性直腸潰瘍7例,虚血性腸炎6例,腫瘍6例,毛細血管拡張症3例,大腸憩室3例であった.止血処置を要した9例は,急性出血性直腸潰瘍3例(クリップ3例),腫瘍3例(APC2例,ポリペクトミー1例),大腸憩室2例(クリップ2例),毛細血管拡張症1例(APC1例)であった.非出血検査症例ではポリペクトミー後出血を2例(透析患者に施行したポリペクトミーの10%)に認めた.また頻回の止血処置を要した症例は急性出血性直腸潰瘍2例(各々3回,2回)であった.【結語】透析患者は週数回の維持透析があるため,ルーチン内視鏡検査の頻度が低くなり,出血を認めてから,緊急・準緊急で内視鏡検査を行うことが多い.また通常認めることが少ない腫瘍出血など,透析が引き起こす予期せぬ出血によく遭遇する.当院での下部消化管出血の現状を提示し,実際の症例を供覧することで,透析患者特有の問題点を確認する.
索引用語 下部消化管出血, 維持透析