セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-出血3

タイトル 内P-439:

当院における出血性直腸潰瘍の臨床的・内視鏡的検討

演者 岸野 竜平(東京都済生会中央病院・消化器内科)
共同演者 中澤 敦(東京都済生会中央病院・消化器内科), 瀧田 麻衣子(東京都済生会中央病院・消化器内科), 岩崎 栄典(東京都済生会中央病院・消化器内科), 泉谷 幹子(東京都済生会中央病院・消化器内科), 塚田 信廣(東京都済生会中央病院・消化器内科)
抄録 【目的】急性出血性直腸潰瘍(以下AHRU)は無症候性の突然の血便で発症するが,ショック状態に陥ることもしばしばあり,また長期臥床の患者に多く発症し合併症も多いため治療に難渋することも多い.当院で経験した急性出血性直腸潰瘍の臨床的・内視鏡的特徴について検討した.【方法】2011年4月1日から2013年2月28日までの期間に当院で経験したAHRU17例について検討した.【結果】年齢は平均69.7歳(49歳から85歳),男女比は15:2であった.基礎疾患として脳血管障害後が6例と最多で,次いで血液透析中,糖尿病,心疾患,悪性腫瘍などであった.ADLは全介助が9例であったが自立していた例も3例あった.アルブミンは全例で低下しており平均値は2.56g/dlであった.抗血小板薬,抗凝固薬は7例で内服しており,他NSAIDS,ステロイドを内服していた.内視鏡的にはDieulafoy型6例,不整形型6例,輪状型4例,類円状型2例であったが露出血管を伴うものが9例と半数以上を占めた.内視鏡的止血術はHSEやクリップ,止血鉗子などの高周波凝固のいずれかまたは併用治療が行われ,HSE,クリップがそれぞれ8例,高周波凝固が5例であった.再出血を来し内視鏡治療を複数施行した例は3例であった.内視鏡治療で効果が得られず手術治療となった例は2例あり,出血死は認めなかったが合併症による死亡が6例あった.【結論】高齢男性に多く,基礎疾患,ADL,内服薬等の背景は既報と同様であった.露出血管を伴い高周波凝固を併用した5例では再出血は認めなかった.内視鏡所見ではDieulafoy型が,内視鏡的止血術ではHSE,クリップ併用が比較的多かった.基礎疾患を有する高齢男性で無症候性の血便を認めた場合は急性出血性直腸潰瘍の可能性を念頭におく必要がある.
索引用語 急性出血性直腸潰瘍, 内視鏡的止血術