抄録 |
【症例】52歳,男性【主訴】心窩部不快感【既往歴】22歳時に虫垂炎【嗜好歴】タバコ20本/日,アルコール1合/日【現病歴】心窩部不快感を主訴に当科初診.血液検査:CEA 13.0ng/ml,CA19-9 2.8U/ml.胸腹部CT:左胃動脈に沿った腫大リンパ節(サイズは小さく非特異的と考えられた),肝腎嚢胞を認めた.上部消化管内視鏡検査では,胃噴門小彎に25mm大の0-IIc早期胃癌(生検Group4)を認めた.2012年12月,同病変に対し胃ESD施行.病理結果は,Early gastric cancer, Type0-IIc, 25×10mm, tub2, pT1a(MM), ly0, v0, pHM0, pVM0(適応拡大病変治癒切除)であった.また,高CEA血症の精査のため大腸内視鏡検査とPET-CT検査を行った.大腸内視鏡検査では,多発性大腸ポリープを認め,生検・EMRを施行.直腸Rbの25mm大の0-Isp病変は,拡大観察でIV型pit pattern,生検でTubular adenoma with low grade atypiaであった.PET-CTでは,直腸に高度の異常集積(SUV最大値32.7)を認め,進行大腸癌が疑われた.内視鏡所見および病理所見を重視し,大腸ESD施行.病理結果は,Tubulo-villous adenoma(moderate to severe atypia to in situ adenocarcinoma), pHM0, pVM0(治癒切除)であった.【考察】大腸癌は,FDGが良好に集積する腫瘍で,PET/CT検診で発見率の高い癌の一つである.大腸腺腫においては,13mm以上のものは90%検出されるとの報告や絨毛腺腫は集積が強いとの報告がある.FDGの集積を呈するのは癌だけではないため,集積の有無や集積の強弱だけで良悪性の鑑別は困難であるといわれているが,SUV値はある程度大腸疾患の良悪性の鑑別に寄与する可能性があるという報告もある.今回,FDG-PET/CTでSUV最大値32.7と高度の異常集積を示した大腸腺腫(管状絨毛腺腫)の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する. |