セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-症例1

タイトル 内P-447:

当院で経験した大腸顆粒細胞腫の3例

演者 津賀 勝利(広島記念病院・内科)
共同演者 隅井 雅晴(広島記念病院・内科), 田村 忠正(広島記念病院・内科), 炭田 知宜(広島記念病院・内科), 松本 健太(広島記念病院・内科), 住元 旭(広島記念病院・内科), 山本 隆一(広島記念病院・内科), 児玉 英章(広島記念病院・内科), 江口 紀章(広島記念病院・内科), 西山 宗希(広島大・消化器・代謝内科), 嶋本 文雄(県立広島大・人間文化学部健康科学科)
抄録 【はじめに】顆粒細胞腫は全身の臓器に発生しうるが,消化管での発生は少なく,特に大腸顆粒細胞腫は近年その報告は増えつつあるも依然として少ない.今回我々は大腸顆粒細胞腫の3例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.【症例1】40歳代女性.腹部違和感あり,大腸内視鏡検査(CS)を行ったところ,盲腸に径9mmの半球状の粘膜下腫瘍を認めた.超音波内視鏡検査(EUS)では粘膜下層に主座を置く,内部エコー均一な低エコー腫瘤であり,内視鏡的粘膜切除(EMR)を行った.病理所見では粘膜層は萎縮し,粘膜下層に顆粒状の細胞質を有する腫瘍細胞が胞巣状かつ充実性の増生を示しており,免疫染色でS-100陽性,Kp-1陽性であり顆粒細胞腫と診断した.【症例2】50歳代男性.便潜血陽性精査目的にてCSを行ったところ,盲腸に径5mmの半球状の粘膜下腫瘍を認め,EMRを行った.病理所見は類円形ないしは短紡錘形の核と好酸性顆粒の目立つ細胞質からなる腫瘍細胞を認め,免疫染色でS-100陽性,Kp-1陽性であり顆粒細胞腫と診断した.【症例3】40歳代男性.腹痛,下痢,下血,残便感あり,CSを行ったところ,上行結腸に径4mmの半球状の粘膜下腫瘍を認め,生検病理標本にて粘膜固有層内に好酸性の豊富な顆粒状の細胞質を有し,類円形の小型の核を持つ細胞が増生しており,免疫染色でS-100陽性,Kp-1陽性であり顆粒細胞腫(疑)と診断した.EMRを勧めているが,ご本人の希望をふまえ,現在経過観察中である.【考察】大腸顆粒細胞腫は比較的稀な粘膜下腫瘍であり,肉眼形態やEUS所見からはカルチノイドとの鑑別は困難である.その診断には病理学的診断が必要であり,本疾患を念頭に置き,何らかの方法で組織を採取し,診断することが重要である.治療は内視鏡的切除が考えられるが,生検で大腸顆粒細胞腫と診断がつけば,悪性化の報告は極めて稀であり,経過観察することも可能である.
索引用語 大腸顆粒細胞腫, 大腸粘膜下腫瘍