セッション情報 |
ポスターセッション(消化器内視鏡学会)
大腸-症例5
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タイトル |
内P-466:診断に大腸内視鏡が有用であると思われた腹腔内出血の1例
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演者 |
塩入 誠信(玄々堂君津病院) |
共同演者 |
長谷川 誠(玄々堂君津病院), 武部 嗣郎(玄々堂君津病院) |
抄録 |
症例は79歳,女性.数日前からの腹痛を主訴に2012年12月,外来受診し貧血を指摘され精査加療目的入院となった.既往歴として他院にて2012年10月に発作性心房細動に対して,カテーテルアブレーション,ペースメーカー植え込み術を施行されたが,頻脈発作抑制コントロールが不良のため,血栓予防目的でワーファリン内服中であった.入院後,腹部単純CTにてCT値から血液と考えて矛盾しない腹水の貯留を認めたため,鑑別診断目的で腹水穿刺を施行したところ,血性腹水が採取された.また,PT - INRが41.6と著明延長を認めたことから,ワーファリンによる抗凝固療法の出血性合併症として腹腔内出血を発症し,腹痛,貧血を来したと考えられた.このため,ビタミンK製剤を投与し経過観察を行ったが,PT - INRは速やかに至適範囲まで改善し,貧血の進行や腹痛の増悪は認めなかった.出血源は同定困難であったため,貧血の原因として消化管出血を除外診断する目的で上部,下部内視鏡を施行した.上部内視鏡では粗大病変は指摘されなかった.下部内視鏡では全大腸に明らかな出血源や粘膜病変は認めなかったが,通常観察では見ることのない,壁外に透見される褐色から黒色の腹水を間接的に観察し得た.本経過中,腹水量はフォローCTで減少していたため保存加療を継続し,経過良好にて退院となった.2013年3月時点で,再発兆候は認めていない.本症例の経験から,腹膜炎症状を呈してないなど条件付きながら,腹腔内出血を疑う症例には診断目的での下部内視鏡検査は有用であると思われ,若干の考察を加え報告する. |
索引用語 |
腹腔内出血, 大腸内視鏡 |