セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-症例5

タイトル 内P-467:

経口腸管洗浄剤内服後に敗血症性ショック・DICを発症した一例

演者 鈴木 道隆(小林病院(北海道)・消化器科)
共同演者 請川 淳一(小林病院(北海道)・消化器科), 市來 一彦(小林病院(北海道)・消化器科), 本田 光則(小林病院(北海道)・消化器科), 矢崎 康幸(小林病院(北海道)・消化器科)
抄録 80歳代男性.胃癌(前庭部小弯,Type2,深達度SS~SE,N0,M0)の術前精査のために入院中であった.大腸内視鏡検査を予定し,経口腸管洗浄剤(polyethylene glycol electrolyte lavage solution:ニフレック)を2L飲用した.約2時間後に悪寒,発熱(38.8℃),血圧低下(収縮期血圧60台)を発症したため大腸内視鏡検査は中止した.呼吸苦・腹痛等の症状はなく,CTでも肺炎・腹膜炎等の所見は認めなかった.経口腸管洗浄剤内服に起因する何らかの敗血症性ショックの疑いで抗生物質(CZOP),免疫グロブリン投与を開始した.翌日,血液検査で炎症反応上昇,トランスアミラーゼ上昇,腎機能悪化を認めた.ショック肝・急性腎不全の診断で抗生剤変更(MEPM+AMK),アルブミン製剤・gabexate mesilate・ulinastatin・sivelestat sodium hydrateの投与を開始した.その翌日には血小板減少,AT3活性低下を認め,DICと診断し,血小板輸血,FFP輸血,AT3製剤,ヘパリンの投与を開始した.その後全身状態,血液検査結果は改善し,敗血症・DICを離脱した.しかし,ADL及び意欲低下が著しく,大腸の精査と胃癌の治療が不可能な状態となっている.経口腸管洗浄剤の副作用として敗血症は稀で,医中誌で「経口腸管洗浄剤」「敗血症」で検索すると症例報告が2件該当するのみである.本例は,敗血症から回復後に大腸内視鏡検査を行うことができず,原因を特定できていない.しかし,経口腸管洗浄剤内服後すぐに敗血症を発症したことから,因果関係は強いと判断し,bacterial translocationの可能性が高いと考えた.示唆に富む症例と考え,文献的考察を加えて呈示する.
索引用語 経口腸管洗浄剤, 敗血症