セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-症例5

タイトル 内P-469:

血便を主訴に発見された消化管の多発性血管肉腫の1例

演者 安田 伊久磨(聖隷横浜病院・消化器内科)
共同演者 吹田 洋將(聖隷横浜病院・消化器内科), 足立 清太郎(聖隷横浜病院・消化器内科), 浅木 努史(聖隷横浜病院・消化器内科), 豊水 道史(聖隷横浜病院・消化器内科), 片倉 芳樹(聖隷横浜病院・消化器内科)
抄録 症例は80歳男性. 黒色便を主訴に当科外来受診. 血液検査にて著明な貧血を認め, 緊急上部内視鏡検査(以下GS)施行. 胃内にVascular ectasia(以下, VE)の多発を認めるものの明らかなoozingは指摘出来ず. 止血処置を行わずに終了とし即日入院とした. 入院後, 第5病日に下血を認め, 緊急大腸内視鏡(以下CS)施行. GS検査同様に全大腸にわたり多発するVEを認め, そのうちの一つからoozingを認めたためAPC焼灼術を施行し止血を得た. その時の生検結果にてEpitheloid angiosarcomaであり免疫染色にてFactor‐8, CD31, CD34などがいずれも陽性であった. 以降も黒色便, 血便を繰り返し, その都度GSまたはCS施行しoozingを認めるVEに対し, APC焼灼術を施行し, 進行する貧血に対しては輸血にて対応した. その後, 加療目的にて他院へ転院となり化学療法(Paclitaxel)を施行するも奏功することなく第67日に死亡した. 血管肉腫は, 血管内皮細胞由来の悪性腫瘍とされ, 軟部組織肉腫の約1‐2%を占め, 予後不良とされる. 皮膚, 潜在性軟部組織に発生した血管肉腫の報告は散見されるものの, 本例の様に消化管に発生することは極めて稀とされる. また,治療法は化学療法においてpaclitaxelやdocetaxelが奏功した報告例が散見され, 免疫療法においてはIL2治療例が散見されるが, 確立されたものはない.医学中央雑誌(1983‐2012)で消化管, 血管肉腫をキーワードに検索した範囲では症例報告は3例であり, いずれも本例の同様に予後不良であった. 今回, 我々は消化管に発生し診断し得た血管肉腫を経験したので若干の考察を含め報告する.
索引用語 血管肉腫, 消化管