セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-挿入2

タイトル 内P-477:

直径6.8mmの極細径スコープによる大腸内視鏡検査:細径スコープとの比較試験

演者 根本 大樹(福島県立医大会津医療センター・小腸・大腸・肛門科)
共同演者 歌野 健一(福島県立医大会津医療センター・小腸・大腸・肛門科), 遠藤 俊吾(福島県立医大会津医療センター・小腸・大腸・肛門科), 五十畑 則之(福島県立医大会津医療センター・小腸・大腸・肛門科), 添田 暢俊(福島県立医大会津医療センター・外科), 大谷 泰介(福島県立医大会津医療センター・小腸・大腸・肛門科), 斎藤 拓朗(福島県立医大会津医療センター・外科), 冨樫 一智(福島県立医大会津医療センター・小腸・大腸・肛門科)
抄録 【目的】直径11mmの細径スコープが大腸内視鏡検査で一般に使用されているが,経鼻スコープと同様の経を有する極細径スコープが大腸内視鏡検査で用いられることは少ない.極細径大腸内視鏡機器(長径6.8mm,通常内視鏡との面積比32%,全長・有効長は同一)について,内視鏡の挿入性・ポリープ発見能・被検者の受容性の観点から,細径スコープとの比較試験を行ったので,報告する.
【方法】学内の倫理委員会の許諾を得てから本研究を着手した.2012年8月20日以降に,臨床上,大腸内視鏡検査を必要とした70歳以上の女性を対象とした.書面により同意が得られた患者を対象として,「極細径スコープで検査を行う極細径群」と「細径スコープで行う細径群」に,第三者が無作為に割り付けを行った.3人の熟練大腸内視鏡医(大腸内視鏡経験数3000以上)が炭酸ガス送気・非透視下に検査を行った.腸管蠕動抑制剤は全例で使用した.盲腸到達率,回腸末端挿入率,腺腫発見率,苦痛度を指標とした.苦痛度はNumerical Rating Scale (NRS)により11段階で評価した.
【成績】本年3月6日までに63例(中央値77歳,範囲70-86歳)が対象となった.盲腸到達率は極細径群97%(32/33),細径群95%(28/30)であり,差は認められなかった.回腸末端挿入率は極細径群82%(27/33),細径群87%(26/30)であった.盲腸到達時間(中央値)は,極細径群15.7 分(最短4.4分,最長44.14分),細径群10.1分(最短4.6分,最長30.0分)であり,有意差が認められた(P=0.01, Mann-Whitney).腺腫発見率は,極細径群28%(9/33),細径群20%(6/30)であった.NRS(中央値)は,極細径群1/11(最小0,最大9),細径群4/11(最小1,最大8)であり,明らかな有意差が認められた(p<0.0001, Mann-Whitney).
【結論】高齢女性に対する「極細径内視鏡を用いた大腸内視鏡検査」は,従来法と比較しても,挿入性及び腺腫発見率に遜色なく,挿入時間を要するが,苦痛度が低い検査であった.極細径スコープによる大腸内視鏡検査の受容度が高いことが実証されたことから,大腸スコープが進化していく方向性のひとつを示していると考えられた.
索引用語 極細径内視鏡, 無作為比較試験