抄録 |
【背景・目的】我々は大腸内視鏡挿入法の分類として,スコープヘッドが左結腸曲に挿入した時点での腸管およびスコープのループ形成の有無により,ホールド法とループ法に分類している.ホールド法は, ループを作らないように挿入する方法で理想的な挿入法であるが,スコープヘッドと粘膜との間合いが狭い状態で連続した操作が必要となるため操作が難しくまたすべての症例に用いることは容易ではない.一方, ループ法は, 比較的広い間合いでの操作でも挿入可能なため, 軸保持挿入法より簡便な挿入法といえる.我々は, この二つの挿入法を症例に応じて使い分けることが,挿入時間の短縮ひいては被検者にとって快適な検査へと繋がるものと考えている.そこで今回我々は,CT colonography(CTC)で腸管の形態を解析し実際の挿入法と比較検討するとともに,その解析結果を基に作製した新しい透明コロンモデルを用いて腸管形態から挿入法を検討した.【方法】大腸内視鏡検査の際, 臨床的にCTを必要とした症例(便通異常や慢性的な軽い腹痛)を対象に大腸内視鏡検査後に仰臥位・左側臥位でCTCを行った.【結果】1) 仰臥位,左側臥位にて大腸の形態に大きな変化はなかった.2) 腸管形態から挿入法は, 引き主体(軸保持挿入法主体), 押し主体(ループ形成解除法主体), 引き+押し(ハイブリッド)の3つに大別された.3) CTCで分類した腸管形態をもとにコロンモデルで追試したところ, 人体での挿入法に概ね一致していた.【結語】これまで腸管内腔の見え方をもとにした挿入法の報告はされてきたが,腸管の形態をイメージした挿入法の報告はない.今回我々はCTCを用いて腸管の形態を分類することにより,大まかな挿入法の分類を試みた. 腸管の形態をイメージすることにより, さらに挿入法の技術が向上し, 被検者にとって快適な大腸内視鏡検査に繋がるものと考える. |