セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-挿入3

タイトル 内P-486:

ループを最小化する大腸内視鏡挿入戦略と観察時の注意点

演者 高木 篤(協立総合病院・内科(消化器))
共同演者 江間 幸雄(協立総合病院・内科(消化器)), 中澤 幸久(協立総合病院・外科)
抄録 大腸は屈曲部の連続する臓器であり,屈曲部の越え方が苦痛のない挿入法の鍵である.挿入時にループを作ると,S-D junctionなどの自由腸管から固定腸管への屈曲部が鋭角化して痛いだけでなく,スコープの操作性も不良となり,観察・治療にも支障を来す.
 S状結腸の屈曲部をめくる際には,送気を最小限とし,対側壁面を押さずに正面視しながら,次の管腔方向にスライドしていく「面壁スライド法」が有用である.次の屈曲部に届かない場合には押すしかないが,7割押し程度に留め,頻回にループを解除する直線化操作を繰り返す.
 我々は,小型CCDカメラにより,術者の左手によるアングル操作,右手によるスコープ操作,内視視鏡画面を同時に撮影する一発撮りシステムを作成した.その動画を供覧する.
当院ではルーチンでは拡大電子スコープOLYMPUS CF-H260AZIのみを使用している.
 前投薬はブスコパン1Aのみとし,疼痛に応じて適宜鎮静剤を使用するが,93.0%には不要であった.
 2012年の当院の検査医8名の年間大腸内視鏡検査数は2633件で,全大腸内視鏡検査は2359件(955件)(括弧内は演者のデータ).盲腸到達率は99.3%(100%),平均盲腸到達時間は5.41分(3.04分)であった.
 ただし,ループを最小化する戦略は,挿入時には有効であるが,抜去観察時にはむしろ弊害が大きい.送気を最小にして腸管をたたんでいくと,死角が多くなるからである.
 抜去時の観察では一転して十分な送気し,空気を移動させるための体位変換も適宜使用する.
 抜去時に屈曲部を通過する際には,毎回,屈曲によって死角となった部位に必ず戻って再度観に行くという,表と裏の「合わせ技一本」が重要である.
 面壁スライド法でS状結腸を通過すると,腸管はたたまれてしまい,RSに死角が発生する.したがって,観察時にはS状結腸をプッシュで再挿入し,意図的にRSを伸ばす必要がある.我々は,RSの早期大腸癌の見逃し例を経験したので動画で供覧する.
索引用語 大腸内視鏡, 挿入法