セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-診断・治療2

タイトル 内P-488:

静脈硬化性腸炎の診断における特徴的内視鏡画像所見とCTコロノグラフィーの有用性

演者 福地 剛英(藤沢市民病院・消化器内科)
共同演者 木本 華織(藤沢市民病院・消化器内科), 小林 槙(藤沢市民病院・消化器内科), 手塚 瞬(藤沢市民病院・消化器内科), 小林 亮介(藤沢市民病院・消化器内科), 入江 邦泰(藤沢市民病院・消化器内科), 守田 誠恵(藤沢市民病院・消化器内科), 矢原 青(藤沢市民病院・消化器内科), 岩瀬 滋(藤沢市民病院・消化器内科)
抄録 静脈硬化性大腸炎は静脈硬化に起因した還流異常に伴う虚血性大腸病変と考えられている.その発症原因は漢方薬を初めとした血管炎,薬剤性,門脈圧亢進症など挙げられるが明らかな成因は現在のところ不明である.盲腸,上行結腸から発症し肛門側に進行していくと考えられ,静脈硬化に伴う還流障害と鬱血した静脈を反映し内視鏡所見にて暗紫色から青紫色の粘膜を認めることが特徴的である.イレウスと同様,腹痛や便秘による腹部膨満感,嘔気などが主症状であり症状を繰り返す場合や腸閉塞を来たす症例には手術適応と考えられている.【症例】72歳,男性【主訴】嘔吐,腹痛【既往歴】脂質異常症,高血圧,帯状疱疹,虫垂炎術後【現病歴】約30年前から漢方薬を内服しており,2年前から腸管蠕動不良によると考えられる宿便性大腸イレウスを数回繰り返しており,ガストログラフィン注腸にて排便を促し宿便性イレウスはその都度改善し,イレウス管など挿入せず経過していたが,その頻度が月に3度程度と急激に増加し始めたため手術予定となった.腹部骨盤造影CTでは上行結腸からS状結腸にかけて腸管壁のびまん性肥厚を認め,その壁に沿って静脈硬化と思われる石灰化病変を認めた.今回の大腸内視鏡所見では,上行結腸からS状結腸まで青銅色調の異常粘膜を認め,S状結腸で正常粘膜と異常粘膜の境界の区別がはっきりと示された.術前精査として同部位境界にクリップを置きCTC(CTコロノグラフィー)を実施した.CTCでは大腸内視鏡にて青銅色調を示す粘膜部位(肛門側はクリッピング施行箇所まで)にほぼ一致して拇指圧痕像のような虚血性変化を認めた.本症例では,肛門側の正常粘膜との境界部位を含め,静脈硬化性腸炎に特徴的な内視鏡所見を得た.さらにCTCを使用することで,より詳細に静脈硬化性腸炎の範囲検索が可能となったと考えられ,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 静脈硬化性腸炎, CTコロノグラフィー