セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-診断・治療2

タイトル 内P-489:

当院におけるS状結腸軸捻転24例の治療成績 -浸水法を用いた無麻酔非透視下捻転解除術を中心に-

演者 杉本 真也(横浜市立市民病院・消化器内科DELIMITER慶應義塾大・消化器内科)
共同演者 水上 健(国立久里浜医療センター・内科), 伊藤 剛(横浜市立市民病院・消化器内科), 角田 裕也(横浜市立市民病院・消化器内科), 今村 諭(横浜市立市民病院・消化器内科), 田村 寿英(横浜市立市民病院・消化器内科), 長久保 秀一(横浜市立市民病院・消化器内科), 諸星 雄一(横浜市立市民病院・消化器内科), 小池 祐司(横浜市立市民病院・消化器内科), 藤田 由里子(横浜市立市民病院・消化器内科), 小松 弘一(横浜市立市民病院・消化器内科)
抄録 【目的】S状結腸軸捻転は緊急処置を要する疾患で,緊急手術の適応となる腸管穿孔・壊死などの所見を伴う場合以外は,内視鏡的整復が第一選択となる.内視鏡的整復の成功例にも捻転の再発・死亡リスクの観点から待機的手術が推奨されているが,その是非は意見の分かれるところである.また,当院では下部消化管内視鏡検査に浸水法を導入しており,浸水法を用いた内視鏡的捻転整復術を含む治療成績を検討した.
【方法】2008年1月から2012年12月の5年間に当院でS状結腸軸捻転と診断された24症例,のべ79回(1-18回)を後ろ向きに検討した.
【成績】症例は男性16例(平均78.1歳),女性8例(平均61.9歳)で平均年齢は72.7歳(26-95歳)と8割が70歳以上の高齢者であった.腸管壊死が疑われた2例のうち,1例は緊急手術が行われたが,1例は家族が手術を希望せず死亡した.残りの22例には内視鏡的捻転整復が行われ,成功率100%であった.中央値151日で11例が再発したが,再び内視鏡的整復にて軽快した.8例が2回以上の再発を経験し,3回以上再発した6例は全例男性であった. 2例に待機的手術が行われた.3例は再発なく他病死した.浸水法では口側からの汚水の流出により捻転解除を確認可能であり,約9割が非透視下で行われた.内視鏡初心者にも無麻酔で容易に実施可能で,患者の負担も小さかった.内視鏡治療後の再発時に重症化・死亡した症例はなく,いずれも内視鏡的整復可能であった.
【結論】浸水法による内視鏡的整復後に経過観察した症例は,再発はしたものの重症化した例はなかった.浸水法による内視鏡的整復は容易に実施可能で高い整復率を誇り,高齢者には特に有益と思われた.
索引用語 S状結腸軸捻転, 浸水法