セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-診断・治療2

タイトル 内P-491:

大腸イレウス治療における細径内視鏡の有用性

演者 辰巳 菜津子(京都きづ川病院)
共同演者 前田 利郎(京都きづ川病院), 丸山 恭平(京都きづ川病院)
抄録 【目的】大腸イレウスに対する経肛門的イレウス管および大腸ステント留置による減圧処置は,症状改善や緊急手術回避などの点で非常に有用である.しかし高度狭窄や屈曲部狭窄の症例においては,従来の大腸内視鏡では狭窄部の管腔を捉えることが困難で,処置のみならず造影さえも難渋することがあった.当院では2006年4月の細径内視鏡導入以降,経鼻イレウス管留置や胃瘻交換,腸瘻造設など様々な治療への応用を行ってきた.大腸イレウスに対する内視鏡的治療にも有用であったので,手技の実際と工夫,使用状況,成績について報告する.【方法】大腸内視鏡を用いて挿入を開始する.狭窄部の観察で管腔を捉えられなかった場合,一度内視鏡を抜去し細径内視鏡を再度狭窄部まで挿入する.造影後,胆管用ガイドワイヤー(以下GW)を狭窄部通過させ,GW留置のまま細径内視鏡を抜去する.イレウス管の場合は,透視下にGWにシース,ダイレイターの順に被せ,最終的にイレウス管を留置する.大腸ステントの場合,through the scopeで留置するためには大口径チャンネル付の内視鏡が必要となり,当院ではGIF-2T200を使用している.チャンネル内にあらかじめ胆道用カニューラを通しておき,GWをカニューラの先端から通し,GWがチャンネルから出た後にカニューラを抜去,透視下でGWを確認しながらスコープを狭窄部まで進めてステント留置を行う.【成績】2008年1月から2013年2月の間に経肛門的イレウス管留置を行ったのは32例,うち細径内視鏡を用いたのは9例(28.1%)であり,大腸内視鏡のみでアプローチしGW通過できず断念した1例を除き手技を完遂できた(96.8%).大腸ステント留置は2011年4月から2013年2月の間に9例施行し,うち細径内視鏡を用いたのは5例(55.6%)であり,全例で手技を完遂できた(100%).細径内視鏡を用いた全例で狭窄部への到達は問題なく行えた.【結論】細径内視鏡は狭窄部位の管腔へのアプローチを容易にし,造影やGW挿入を安全確実に行える点で,大腸イレウス治療に有用と考えられた.
索引用語 大腸イレウス, 細径内視鏡