セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-診断・治療3

タイトル 内P-497:

大腸癌における内視鏡分子イメージング

演者 六車 直樹(徳島大・消化器内科)
共同演者 宮本 佳彦(徳島大・消化器内科), 藤野 泰輝(徳島大・消化器内科), 高岡 遠(徳島大・消化器内科), 北村 晋志(徳島大・消化器内科), 岡本 耕一(徳島大・消化器内科), 宮本 弘志(徳島大・消化器内科), 岡久 稔也(徳島大・消化器内科), 高山 哲治(徳島大・消化器内科)
抄録 【目的】分子腫瘍学の進歩に伴い,近い将来はバイオマーカーとの組み合わせによる新たな内視鏡診断学の確立が期待される.わが国でも大腸癌が増加し,予防,早期診断,治療効果予測,効果判定といったあらゆるフェーズにおいて効率的・科学的な癌診療を進めることが重要な戦略となる.本研究では,大腸癌のバイオマーカーであるAberrant crypt foci(ACF)および大腸癌に発現するEpidermal Growth Factor Receptor(EGFR)を標的とした分子イメージングを行った.【方法】1)ヒト大腸癌細胞におけるEGFR発現数を,モノクローナル抗体を用いたフローサイト-メトリー法により算出した.2)大腸癌細胞に蛍光標識抗体を反応させ,共焦点レーザー顕微鏡下に観察を行い,蛍光強度を定量化した.3)各大腸癌細胞株にセツキシマブを添加して細胞増殖を調べ,投与前後における蛍光強度を比較した.4)ヒト大腸癌移植ヌードマウスを用いてEGFR発現および蛍光標識セツキシマブのin vivo分子イメージングを行った.5)AOM投与後のラット大腸粘膜に発現したACFに対してGlutathione S-transferase(GST)活性特異的な新規蛍光プローブを反応させ,感度および特異度評価を行った.【結果】1)大腸癌各細胞における蛍光強度は細胞膜表面上のEGFR数に比例した.2)K-RASあるいはB-RAF変異細胞では,セツキシマブによる細胞増殖の抑制は認められず,野生株においてはEGFR発現の強い細胞ほど細胞増殖抑制が高かった.セツキシマブ投与後における蛍光強度は投与前に比べて低下した.3)腫瘍移植ヌードマウスにおけるEGFRのin vivoイメージングでは標識セツキシマブと同様の蛍光動態が観察された.4)ラット大腸粘膜に生じたACFに特異的蛍光が確認された.【結論】GSTやEGFRといった分子をターゲットとする分子イメージング技術は,大腸癌の発生予測,分子特性診断,抗EGFR抗体薬の効果予測,効果判定という大腸癌診断において網羅的に応用しうることが示唆された.
索引用語 大腸癌, EGFR