セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-sm癌1

タイトル 内P-501:

陥凹有無別からみた大腸SM癌の内視鏡治療適応拡大の可能性について

演者 永田 信二(広島市立安佐市民病院・内視鏡内科)
共同演者 田丸 弓弦(広島市立安佐市民病院・消化器内科), 金子 真弓(広島市立安佐市民病院・臨床検査部)
抄録 【背景】大腸癌治療ガイドライン(以下GL)では,追加腸切除を考慮する因子は,1)SM浸潤度1000μm以上,2)低分化腺癌・印環細胞癌・粘液癌,3)脈管侵襲陽性,4)簇出G2/3であるが,これらの因子が陽性でもリンパ節転移を認めない症例が存在する.【目的】大腸SM癌のリンパ節転移率を陥凹有無別,危険因子個数別に解析し大腸SM癌内視鏡治療適応拡大の可能性について検討する.【対象と方法】検討1)リンパ節転移の有無が確認された大腸SM癌269例を用いて病型別(陥凹有無別)にGL危険因子個数別のリンパ節転移率を検討した.なお,陥凹あり群は陥凹面を有するもの,陥凹なし群は陥凹面を有さないものとした.検討2)大腸SM癌内視鏡治療後に経過観察した82例の遺残・再発を病型別に検討した.【結果】検討1)大腸SM癌269例のリンパ節転移率は,10.7%(29/269)で,陥凹あり群:18.6%(18/97),陥凹なし群:6.4%(11/172)で陥凹なし群で低かった.危険因子個数別(0個,1個,2個,3個,4個)のリンパ節転移率は,陥凹あり群:(0%(0/6),10%(4/40),17.6%(6/34),35.7%(5/14),100%(3/3)),陥凹なし群:(0%(0/23),2.4%(2/81),9.8%(5/51),23.5%(4/17),-)で陥凹なし群で低かった.危険因子1因子のみ陽性121例のうち,SM浸潤度1000μm以上が109例90%を占め,病型別のリンパ節転移率は,陥凹あり群:10.5%(4/38),陥凹なし群:1.4%(1/71)でSM浸潤度1000μm以上の陥凹なし群で低かった.検討2)大腸SM癌内視鏡治療後に経過観察した82例のうち危険因子1因子のみ陽性のSM浸潤度1000μm以上の陥凹のない大腸SM癌は19例で遺残・再発を認めていない(観察期間45.1±28.1ヶ月).【結語】大腸SM癌の腸切除を考慮する際は病型別(陥凹有無別)に検討する必要があると考えられた.大腸SM癌のリンパ節転移危険因子1因子のみ陽性のSM浸潤度1000μm以上の陥凹なし群のリンパ節転移率は1.4%でこれらの群に対しては患者背景などを考慮して追加外科切除を決定するべきである.
索引用語 大腸SM癌, 適応拡大