セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-sm癌1

タイトル 内P-503:

大腸SM癌のリンパ節転移と長期成績からみた内視鏡治療の適応

演者 高橋 徹也(関沢クリニック)
共同演者 山本 晴美(関沢クリニック), 関澤 良行(関沢クリニック)
抄録 【目的】大腸SM癌の内視鏡治療の適応について検討する.【方法】対象は平成16年4月から平成25年3月までの9年間に当クリニックで診断された大腸癌711例のうちSM癌の最終診断が得られた115例.これらを内視鏡治療単独群(以下ER群, n=31),内視鏡治療後追加腸切除群(以下ER→OP群, n=43),手術単独群(以下OP群, n=41)に分け,リンパ節転移の有無とsm浸潤距離,リンパ管侵襲(以下ly)などの病理学的所見,長期成績について検討した.【成績】115例の男女比は78:37,平均年齢は68.0歳(39~88歳),再発死亡はER群の1例のみであった.ER群31例中,sm1,000μm未満,脈管侵襲陰性,水平・垂直断端陰性の高中分化腺癌26例に再発はなかった.大腸癌治療ガイドライン基準を逸脱したが追加腸切除を希望せず経過観察となった症例は4例で,3例が80歳代(平均78.3歳),3例が直腸癌であった.うち1例(82歳男性,sm1,000μm未満,ly陽性)はER後3年10か月目にリンパ節再発をきたしたが,この時点でも手術を希望せず,ER後6年4カ月目に多発肝肺転移で死亡した.残り3例は追跡期間が8~22か月と短いが,再発例はなかった.1例(78歳女性,S状結腸癌,sm1,000μm以上,静脈侵襲陽性)はガイドライン基準逸脱例であったが,同時性肝転移に対する肝切除のみ施行された.ER→OP群の追加腸切除理由(重複あり)はsm1,000μm以上が35例,ly陽性が19例であったが,リンパ節転移は1例のみで,再発例はなかった.OP群のリンパ節転移は4例で,再発例はなかった.すなわちSM癌で腸切除を施行した症例のリンパ節転移率は84例中5例,約6%であった.これにリンパ節再発をきたしたER群の1例を含めた6例のリンパ節転移症例中,4例はly陽性で,ly陰性の1例は低分化腺癌であった.【結論】SM浸潤距離に関わらずly陽性,低分化癌の場合は追加腸切除が必要である.一方SM癌のリンパ節転移率は高くないので,sm1,000μm以上でも分化癌でly陰性の場合は内視鏡治療の適応を拡大できる可能性がある.
索引用語 大腸SM癌, 内視鏡治療