セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

大腸-sm癌2

タイトル 内P-509:

直腸SM癌に対する内視鏡切除と外科手術の治療成績およびその課題

演者 稲田 裕(京都府立医大大学院・消化器内科学)
共同演者 吉田 直久(京都府立医大大学院・消化器内科学), 久貝 宗弘(京都府立医大大学院・消化器内科学), 岡山 哲也(京都府立医大大学院・消化器内科学), 鎌田 和浩(京都府立医大大学院・消化器内科学), 堅田 和弘(京都府立医大大学院・消化器内科学), 内山 和彦(京都府立医大大学院・消化器内科学), 石川 剛(京都府立医大大学院・消化器内科学), 半田 修(京都府立医大大学院・消化器内科学), 高木 智久(京都府立医大大学院・消化器内科学), 小西 英幸(京都府立医大大学院・消化器内科学), 八木 信明(京都府立医大大学院・消化器内科学), 古倉 聡(京都府立医大大学院・消化器内科学), 中西 正芳(京都府立医大・消化器外科), 柳澤 昭夫(京都府立医大・人体病理学), 内藤 裕二(京都府立医大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】早期直腸癌に対する当施設のESDおよび外科手術の治療成績を検討し,その有用性および課題について明らかにする.【方法】対象は,当院消化器内科で2006年から2013年に大腸ESDで切除された535病変のうち,直腸(Ra,Rb)の腫瘍性病変94病変(17.7%)として治療成績を解析した.さらに,直腸SM癌に対してESDを施行した27病変と同時期に外科手術を施行した38病変について臨床病理学的検討を行った.【結果】直腸腫瘍に対するESDは,平均施行時間97.9分,一括切除率91.4%,穿孔率7.4%,後出血率1.1%であった.担癌率は73.4%,SM癌率は16.3%(27病変)であった.SM癌の検討では,ESD群 vs外科手術群で,平均腫瘍径(29.6 vs 22.8mm: P=0.04),平均施行時間(94 vs 241分: P <0.001),平均SM浸潤距離(2768 vs 3702um: P=0.05),脈管侵襲(ly 33.3% vs 23.6%: NS)(v 18.5% vs 21.0%: NS),平均在院日数(5.1 vs 17.4日: P <0.001),偶発症率(11.1 vs 13.1%: NS)であった.偶発症の内訳はESD群で穿孔2例,後出血1例であったが,全例が保存的に軽快した.外科手術群では縫合不全3例,出血1例,血栓塞栓症1例であった.なおESD群では深部断端陽性例が14.8%に認められ,リンパ節転移リスクから追加外科手術を考慮する症例は63.0%(17/27)であった. 【考察】直腸SM癌においてESDは低侵襲ではあるが根治性の低さが課題にあげられ,外科切除は根治性は高いが術後の排便機能に影響する.ESDで局所制御できる例も少なくないことから,個々の患者の状況に応じて適切な治療法が選択されるべきと考えられた.
索引用語 直腸, ESD