セッション情報 | ポスターセッション(消化器内視鏡学会)食道-Barrett食道 |
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タイトル | 内P-512:Barrett食道癌の背景粘膜による臨床病理学的な差異の検討 |
演者 | 清水 智樹(がん研有明病院・消化器内科) |
共同演者 | 藤崎 順子(がん研有明病院・消化器内科), 吉澤 奈津子(がん研有明病院・消化器内科), 大前 雅実(がん研有明病院・消化器内科) |
抄録 | 【背景】Barrett食道腺癌は本邦では頻度の低い疾患であり,病態の解明を目指し研究が進められている.しかし,癌の発生母地に注目するとSSBE癌とLSBE癌の違いの有無は未だ解明されていない.背景粘膜による差を明らかにするため,SSBEとLSBEから発生したBarrett腺癌を比較検討した. 【方法】当院で2004年以降に診断した,初発・単発のBarrett食道腺癌62症例(62病変)を対象とした.SSBEを背景とする49症例(49病変)と,LSBEを背景とする13症例(13病変)における臨床病理学的特徴を比較検討した. 【結果】平均年齢はSSBE群65.3歳,LSBE群64.3歳であった.両群とも男性が多く,BMIは正常で大部分が食道裂孔ヘルニアを合併した.Barrett上皮の平均全周長はSSBE群10.6cm,LSBE群57.7cmであった.胃粘膜のRACはSSBE群24/49例(49%),LSBE群9/13例(69%)に認めた.Los Angeles分類Grade A以上のGERDはSSBE群11/49例(22%),LSBE群1/13例(8%)に認めた.癌の既往はSSBE群で大腸癌5例,胃癌4例が多く,LSBE群では前立腺癌3例が最多であった.両群とも発赤を呈する病変が多く,周在性は右方向に多かったが,肉眼型はSSBE群で隆起型が37/49例(76%)と多いのに対しLSBE群は様々な形態を取り,平均病変径は18cm対33cmとLSBE群で大きい傾向にあった.最終病理が確定した症例中,深達度はSSBE群で粘膜内28/45例(62%),粘膜下層以深17/45例(38%)であるのに対し,LSBE群は粘膜内6/12例(50%),粘膜下層以深6/12例(50%)であった.組織型はSSBE群で分化型32例,混合12例で,LSBE群で分化型9例,混合3例であり,純粋な未分化型癌はいずれも認めなかった.脈管浸襲はSSBE群で12例に,LSBE群で3例に認めた.治療法の選択はSSBE群で32/46例(70%)に内視鏡的治療が行われたのに対し,LSBEでは10/13例(77%)に手術が選択されていた. 【考察】SSBE群とLSBE群では多くの共通点を有していたが,LSBE群でGERDが目立たず,肉眼型が多岐に渡り,病変径が大きいなどの相違も見られた.SSBE癌とLSBE癌において異なる特徴を持つことが示唆された. |
索引用語 | Barrett腺癌, LSBE |