セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-Barrett食道

タイトル 内P-514:

Barrett食道癌のNBI拡大内視鏡像で得られたCV(caliber variation)に相当する血管の病理学的検討―CVは腫瘍血管か?―

演者 吉澤 奈津子(がん研有明病院・内視鏡診療部)
共同演者 藤崎 順子(がん研有明病院・内視鏡診療部), 大前 雅実(がん研有明病院・消化器内科)
抄録 【背景】食道,胃,大腸其々の腫瘍にてNBI拡大内視鏡で特徴的な血管パターンがみられることが報告されているが,それらが腫瘍特異的な血管か,間質に反応性に出現したものかは明らかではない.一方昨今早期の段階でBarrett食道癌が診断されるようになり,内視鏡治療が行われてきているが,現段階で適応病変,適応拡大病変の明確な基準はない. 【目的】 表在型Barrett食道癌において,NBI拡大内視鏡観察にて得られたCV所見(通常の毛細血管の2倍以上の太さの血管)に着目し,CVに相当すると考えられる粘膜表層に出現している太い血管を組織学的に検討し,特徴を明らかにする.【対象と方法】対象は2005年4月~2012年5月に当院で内視鏡治療,手術が施行された表在型Barrett食道癌で,術前にNBI拡大内視鏡観SMA(smooth muscle actin),CD31,VEGFについて免疫染色し,粘膜表層のCVに相当すると考えられる血管の特徴について検討した.【結果】NBI拡大内視鏡画像にてCV陽性例は,SM癌で10/12例(83.3%),M癌では4/20例(20.0%)(SMM2例,DMM2例)であった.粘膜表層にSMA陽性血管出現例は,SM癌9/12(75%),M癌7/20例(35%)(SMM4例,DMM3例)であった.又,CV陽性14例中粘膜表層にSMA陽性血管出現例は,10/14例(71.4%)であった.SMA陽性例のVEGF陽性率は100%であった.又NBI拡大内視鏡画像にてCVと認識した血管径は,平均2.76(正常毛細血管径=1)であった.組織標本上で粘膜表層の毛細血管径は平均9.7μm,SMA陽性血管径は平均44.4μmであり,約4.5倍であった.Barrett食道にてSMA陽性血管は粘膜筋板上下に限局し,粘膜表層に出現していなかった.【考察】CVと認識できた血管は毛細血管の2.75倍以上であると考えられ,それらは粘膜表層に出現しているSMA陽性血管の可能性が高いと考えられた.通常のBarrett食道では粘膜表層にSMA陽性血管の出現はなく,腫瘍性の血管である可能性が高いと考えられた.
索引用語 Barrett食道癌, 拡大内視鏡