共同演者 |
田辺 聡(北里大東病院・消化器内科), 金 明哲(北里大東病院・消化器内科), 成毛 哲(北里大東病院・消化器内科), 石戸 謙次(北里大東病院・消化器内科), 東 瑞智(北里大東病院・消化器内科), 堅田 親利(北里大東病院・消化器内科), 佐々木 徹(北里大東病院・消化器内科), 樋口 勝彦(北里大東病院・消化器内科), 小泉 和三郎(北里大東病院・消化器内科) |
抄録 |
【背景・目的】近年バレット食道癌の報告が増えており,内視鏡治療症例も増加している.今回我々は当院でのバレット食道癌に対する当院の内視鏡治療成績を検討した.【対象】2001年1月から2013年2月までに当院で内視鏡治療を施行し,バレット食道癌と病理学的に診断した15症例15病変を対象とした.【結果】年齢中央値62歳(49-82),男女比14:1,背景バレット食道はLSBE 3例,SSBE 12例であった.バレット食道癌の内視鏡肉眼所見は0-I 3例,0-IIa 3例,0-IIb 1例,0-IIc 6例,0-IIa+IIb 1例,0-IIa+IIb 1例であった.治療はEMR 3例,ESD 12例,腫瘍径中央値はEMR施行病変で18(13-21)mm,ESD施行病変で19(7-28)mmであった.主組織型はpap 1例,tub1 12例,por 2例,深達度はLPM 4例,MM 9例,SM 2例であった.SM症例は2例とも追加外科治療を行った.一括切除率はEMR 33.3%(1/3例),ESD 100%(12/12例).治癒切除率はEMRで33.3%(1/3例),ESDで75%(9/12例).水平断端陽性はEMR 33.3%(1/3例),ESD 0%(0/12例).深達度別の脈管侵襲の頻度はLPM 3例中ly1が1例,MM 9例中v1が2例であった.深達度LPMの脈管侵襲陽性症例は,バレット食道腺癌肝転移(stageIVb)に対しSP3コース施行後肝転移消失・原発巣縮小のためEMRを施行した症例であるが,EMR後SP2コース,S-1単剤1コース施行し,以後無再発生存中である.深達度MMの脈管侵襲陽性症例の1例は術後化学療法としてFP3コース施行し,以後無再発生存中である.もう1例は追加治療希望せず無治療であるが術後8ヶ月無再発生存中である.内視鏡治療後再発症例はEMR症例で1例認めた.深達度MM,脈管侵襲陰性であったが治療後10ヶ月で縦隔リンパ節転移再発を認め24ヶ月で原病死している.偶発症は後出血0%,穿孔はEMRで0%であったが,ESDで25%(3/12例)であった.穿孔例はいずれも孔が小さく保存的加療のみで改善している.【結論】ESDは穿孔率が高いものの,一括切除率が高く正確な病理診断が可能であった.今後は穿孔の回避が課題である. |