セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-拡大内視鏡

タイトル 内P-516:

食道癌の深達度診断における食道学会分類の有用性の検討

演者 吉崎 哲也(神戸大大学院・消化器内科学)
共同演者 田中 心和(神戸大附属病院・光学医療診療部), 河原 史明(神戸大大学院・消化器内科学), 石田 司(神戸大大学院・消化器内科学), 池原 伸直(神戸大大学院・消化器内科学), 森田 圭紀(神戸大大学院・消化器内科学), 豊永 高史(神戸大附属病院・光学医療診療部), 東 健(神戸大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】食道癌の深達度診断には微細血管の形態の変化が有用であることはこれまで多く報告されている.食道微細血管分類にはこれまで井上分類と有馬分類が多く使用されてきたが,いずれも分類の数が多く診断の一致率が低いことが問題であった.昨年,食道学会からより簡便な食道微細血管分類が発表された.今回,我々は既存の分類と食道学会分類における診断の一致率,深達度診断を比較することにより食道学会分類の有用性を検討した.【方法】当院で食道表在癌に対するESDを行った症例のうち,術前にNBI併用拡大観察を行い,病変の最深部の拡大観察が行えている50症例のNBI併用拡大観察像をランダムに並べた.普段術前検査でNBI拡大観察を行っている3名の内視鏡医がランダムに並べたNBI併用拡大観察像のみを見て,それぞれの分類で読影し深達度を診断した.読影の際にはそれぞれの分類を示した図を見ながら分類を行った.深達度診断は正常/炎症/LGIN・HGIN/M1/M2・M3/SM1・SM2以深の4群に分類した.【結果】3人の診断が全員一致したのは井上分類,有馬分類,食道学会分類ではそれぞれ30% (15/50),18% (9/50),42%(21/50)であった.食道学会分類は井上分類よりも一致率が上昇していたが有意差は見られなかった.また食道学会分類は有馬分類よりも有意に一致率が上昇していた(P<0.01).深達度診断の正診率は井上分類,有馬分類,食道学会分類ではそれぞれ73.3 (72-76) %, 70.0 (68-76) %, 72.7 (70-76) %で,各分類で深達度の正診率には有意な差は見られなかった.【結論】食道微細血管分類における食道学会分類は既存の分類と比較して診断の一致率を上昇させ,かつ深達度診断に関しても既存の分類と同等の正診率が得られた.食道学会分類は食道癌の深達度診断を行う上で簡便で有用な分類であると考えられた.
索引用語 食道学会分類, NBI拡大観察