セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-拡大内視鏡

タイトル 内P-518:

食道上皮内腫瘍におけるNBI血管間色調変化の診断能と出現機序についての検討

演者 高橋 正和(北海道大病院・消化器内科)
共同演者 清水 勇一(北海道大病院・消化器内科), 大野 正芳(北海道大病院・消化器内科), 鈴木 美櫻(北海道大病院・消化器内科), 大森 沙織(北海道大病院・消化器内科), 吉田 武史(北海道大病院・消化器内科), 森 康明(北海道大病院・消化器内科), 小野 尚子(北海道大病院・光学医療診療部), 中川 学(中川胃腸科), 間部 克裕(北海道大病院・光学医療診療部), 中川 宗一(中川胃腸科), 加藤 元嗣(北海道大病院・光学医療診療部), 坂本 直哉(北海道大病院・消化器内科)
抄録 【背景・目的】近年食道上皮内腫瘍の内視鏡診断において,腫瘍部のNBI観察におけるIPCL間の色調変化 (IVB) が注目されている.今回我々は,まだら不染を呈さない群(U群)とまだらヨード不染を呈する群(S群)におけるヨード染色によるpink color sign (PCS)とIVBの正診率の相違について,およびIVB出現の機序について検討した.【方法】2010年9月から2012年8月までに当院でEGDが施行され,食道NBI観察でのIPCLの拡張,ヨード不染帯を認め,生検またはEMR/ESDが施行された病変を対象とした.【結果】87症例103病変(SCC/HGIN 48病変,LGIN/non-atypia 55病変)について検討が行われ,U群は65病変,S群は38病変であった.この両群におけるIVBとPCSを用いたSCC/HGINとLGIN/non-atypiaの正診率を比較すると,U群ではIVBで93.8%,PCSで92.3%と有意差は認めず(p = 1.0),S群ではIVBで86.8%,PCSで94.7%と有意差は認めないものの(p = 0.27),PCSに較べてIVBで低い値となった.IVBと残存正常上皮の厚さについての検討結果は,IVB(-)で118.2μm±15.3μm,IVB(+)では14.3μm±12.0μmと有意な差を認めた(p < 0.01).【考察】IVBを用いた正診率はPCSを用いた正診率とほぼ同等であったものの,まだらヨード不染を呈する症例ではIPCL拡張の散在によって血管間色調変化が認識しづらくなると考えられた.残存正常上皮の厚さについては,IVB出現の機序に強く関与しており,この背景には,腫瘍細胞がNBIの狭帯域光波長である415nmの青色光の届くところまで増殖した場合にIVB陽性となる可能性が考えられ,腫瘍細胞内に蓄積されるプロトポルフィリンIXの,青色励起光に対する蛍光発光の特性が関与している可能性が考えられた.【結語】まだらヨード不染を呈さない症例においては,IVBがPCSに取って代われるものと考えられた.
索引用語 食道, NBI