セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-拡大内視鏡

タイトル 内P-520:

頭頸部癌・食道癌患者に対するNBI併用拡大内視鏡観察による食道病変拾い上げに関する検討

演者 河口 剛一郎(鳥取大・機能病態内科)
共同演者 八島 一夫(鳥取大・機能病態内科), 林 暁洋(鳥取大・機能病態内科), 村脇 義和(鳥取大・機能病態内科)
抄録 【目的】食道癌は異時性に多発し,また頭頸部癌とも合併しやすいことより,既往を含むこれら2癌腫患者の食道精査ではヨード染色が併用されている.一般に,ヨード染色は患者の苦痛も強く,入口部直下の食道には散布しにくいなどの問題もある.一方,NBI観察,特に拡大内視鏡を用いた観察では,病変の拾い上げから質的診断まで有用性が報告されている.今回,これらの2癌腫の既往も含む患者の食道NBI併用拡大内視鏡観察の有用性を,ヨード染色と比較し明らかにする.【方法】対象は2011年6月から12月までの7ヶ月間に,拡大内視鏡で上部消化管検査を行った,既往を含む頭頸部癌と食道癌患者92例(男79:女13,平均年齢68歳).内訳は食道癌56例(新規病変有り20例,既往のみ36例),頭頸部癌48例で,これらのうち2癌腫重複は12例(新規食道癌5例).NBI観察を咽頭から食道領域まで行い,基本的に食道のヨード染色を行った.ヨード不染帯(LVL)を,Grade A;なし,B;5mm以下のものが10個未満,C;5mm以下が10個以上,D;不整形や大きさが5mm以上のものが多発,の4群に分けた.NBI所見のBrownish area(BA)もLVLに準じて分類した.【結果】NBI所見がGrade B以上の有所見率は,頭頸部癌群44%(21/48),食道癌群70%(39/56),重複癌群75%(9/12)であった.BAが一定の領域を持って存在するD以上は,頭頸部癌群19%,食道癌群41%,重複癌群67%であった.ヨード染色は76例に実施され,88%の67例でGrade B以上であったが,LVLがD以上は頭頸部癌群47%(17/36),食道癌群69%(35/51),重複群82%(9/11)であった.今回の対象症例中,新規食道癌20例の拾い上げに関して,BAおよびLVLのGrade Dを陽性所見とした場合,NBI観察とヨード染色のそれぞれの感度は90%と84%,特異度は90%と51%で,いずれもNBI観察の方が優れていた.【結語】頭頸部癌・食道癌の担癌・癌既往患者に対するNBI観察による食道サーベイランスは,食道癌の拾い上げにおいてヨード染色と同等以上に有用であることが示唆された.
索引用語 食道癌, NBI併用拡大内視鏡観察