セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-狭窄

タイトル 内P-523:

食道癌術後吻合部狭窄に対する内視鏡的バルーン拡張時のステロイド併用の有用性

演者 鼻岡 昇(大阪府立成人病センター・消化管内科)
共同演者 石原 立(大阪府立成人病センター・消化管内科), 竹内 洋司(大阪府立成人病センター・消化管内科), 東野 晃治(大阪府立成人病センター・消化管内科), 上堂 文也(大阪府立成人病センター・消化管内科), 飯石 浩康(大阪府立成人病センター・消化管内科), 本告 正明(大阪府立成人病センター・外科), 矢野 雅彦(大阪府立成人病センター・外科)
抄録 【背景】食道癌の術後におよそ30-40%の頻度で吻合部狭窄が起こるが,狭窄解除までに平均5回の内視鏡的バルーン拡張術(EBD; Endoscopic balloon dilatation)が必要であり,有用な治療法の開発が望まれる.【目的】食道癌術後吻合部狭窄に対するEBDにステロイドの局所注入を併用することが有用であるかどうかを検討すること.【方法】2008年1月から2010年12月の間,当院で胸部食道癌147例に胸部食道亜全摘術を施行しており,そのうち術後に吻合部狭窄を認めた65症例を対象とした.吻合部狭窄に対し,2010年1月までは標準治療であるEBDを施行し,それらを対照群(48例)とした.それ以降はEBDの直後にステロイド局注を併用し,それらを試験群(17例)とした.EBDは(CRE Wireguided Balloon Dilator; Boston Scientific Corporation)を用いて行い,最小3atmから最大7atmの範囲で行った.試験群:5mlのトリアムシノロンアセトニド水溶性懸濁液10mg/mlを作成し,25Gの局注針を用いて拡張後の吻合部に1mlずつ注入した.検討項目は拡張が不要になるまでに要したEBDの施行回数,狭窄解除までの期間,有害事象発生頻度とし,後ろ向きに検討した.最終拡張術後,3カ月間拡張術が不要であった場合を狭窄解除と定義した.【結果】EBDの回数(中央値,範囲)は対照群で4(1-20)回,試験群で2(1-6)回(p<0.01)だった.初回拡張から狭窄解除までの期間(中央値,範囲)は対照群で77(0-414)日,試験群で14(0-142)日(p<0.001)だった.両群で重篤な偶発症は発生していなかった.【考察】吻合部狭窄に対し,EBDにステロイドを併用することでEBDの回数を減らすことができるかもしれない.今回の結果をもとに当院では無作為化比較試験を行っている.ステロイドの併用によりEBDの回数を減らし,狭窄を早期に解除することができれば患者負担の軽減につながると期待される.
索引用語 EBD, ステロイド