セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-症例1

タイトル 内P-531:

食道癌と鑑別困難であった食道血管腫の1例

演者 内田 元太(刈谷豊田総合病院・内科)
共同演者 坂巻 慶一(刈谷豊田総合病院・内科), 井本 正巳(刈谷豊田総合病院・内科), 濱島 英司(刈谷豊田総合病院・内科), 中江 康之(刈谷豊田総合病院・内科), 仲島 さより(刈谷豊田総合病院・内科), 松浦 倫三郎(刈谷豊田総合病院・内科), 小林 健一(刈谷豊田総合病院・内科), 澤田 つな騎(刈谷豊田総合病院・内科), 鈴木 敏行(刈谷豊田総合病院・内科), 伊藤 誠(刈谷豊田総合病院・病理科)
抄録 症例は75歳,男性.主訴は食思不振.既往歴は前立腺肥大,糖尿病,パーキンソン病.2012年5月頃より食思不振が出現し,10月に近医を受診.上部消化管内視鏡検査にて食道腫瘤を指摘され,当院を紹介受診した.上部消化管内視鏡検査では,EGJ直上の下部食道左壁に10mm程のstokeを有するポリープ状隆起を認め,腫瘤部は発赤調で白苔の付着を認め,蠕動にて容易に胃内へ移動した.stokeは正常上皮で覆われ,頭部への移行部も上皮で覆われており,腫瘤部は双頭状で肛門側にはなだらかな隆起も認めた.NBI拡大観察では腫瘤表面は白濁しておりIPCLは目立たなかった.EUSでは腫瘤部は比較的均一なやや高エコーとして描出され,第3相は保たれていた.腫瘤部の生検では,suspicious of squamous cell carcinomaの結果であり,食道癌も否定はできなかった.食道透視では下部食道を主座とする多結節状の隆起が胃内へ引き込まれるのを観察できた.明らかな側面変形は認めなかった.造影CTでは,下部食道に造影効果を有する腫瘤を認めたが,周囲明らかなリンパ節転移や遠隔転移は認められなかった.PET-CTでは,食道に異常集積を認めなかった.以上から,食道癌SM浸潤も否定はできないものの,生検でも確定診断に至っておらず,診断的治療目的に食道ESDを施行した.切除標本径は11×10mm,病変は11×7mmであり一括切除した.病理所見はcapillary hemangioma of the esophagusであり,食道粘膜に反応性の過形成を認めるものの異型上皮は認められなかった.術前検査では食道癌と鑑別困難であり食道ESDによる一括切除を行った食道血管腫の一例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 食道血管腫, 食道癌