セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-症例1

タイトル 内P-533:

ESDにて治療を行った食道NETの一例

演者 八木 周(山形大・消化器内科)
共同演者 阿部 靖彦(山形大・消化器内科), 佐々木 悠(山形大・消化器内科), 野村 栄樹(山形大・消化器内科), 佐藤 剛司(山形大・消化器内科), 岩野 大輔(山形大・消化器内科), 矢尾板 孝夫(山形大・消化器内科), 吉澤 和哉(山形大・消化器内科), 水本 尚子(山形大・消化器内科), 菅野 奈々(山形大・消化器内科), 西瀬 祥一(山形大・消化器内科), 上野 義之(山形大・消化器内科)
抄録 【はじめに】 消化管NET(Neuroendocrine tumor)の発生頻度は3.5人/10万人といわれ,中でも食道NETは非常に稀とされ,内視鏡治療が行われた報告は極めて少ない.【症例】43歳,女性【主訴】なし【既往歴】なし【現病歴】人間ドックの胃X線検査にて胃体部小彎に壁不整を指摘された.精査のため上部消化管内視鏡検査を行ったところ,下部食道に発赤した小隆起が認められた.生検にてcarcinoid tumorが疑われ精査加療目的に当院へ紹介となった.【現症】体温 36.5℃,血圧 128/56 mmHg,脈拍62 bpmで整,胸腹部など理学所見に異常を認めず.【内視鏡所見・治療経過】下部食道に4-5 mm大の小球状腫瘤が認められた.腫瘤表面は平滑で光沢があり,強発赤調で,血管の密集を疑う所見があった.EUSでは第2層内の低エコー腫瘤として描出され,第3層の変化は明らかではなかった.全身CTでは転移性病変は指摘できなかった.ESDにて一括切除した.切除標本を拡大内視鏡にて観察したところ,上皮下に微細な血管の増生所見を認めた.病理組織学的に,径 2.5×2 mm,粘膜固有層を主座とするcarcinoid tumorで,synaptophysin陽性,chromograninAとCD56は陰性,MIB-1 index < 1%,mitotic figure < 1/20HPF,ly0,v0,HM(-),VM(-)で,WHO分類(2010年)でNET G1相当と診断された.また胞巣間に豊富な細血管が観察され,内視鏡所見と矛盾しない像と思われた.第7病日に退院となり,外来経過観察中であるが,現在まで再発は認めていない.【結語】稀な食道のNETを内視鏡的に切除した1例を経験した.脈管侵襲陰性でも転移をきたした報告があり,今後も厳重な経過観察が必要であると考えられる.若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 内分泌腫瘍, 内視鏡