セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-症例1

タイトル 内P-534:

内視鏡的に切除し得た食道癌肉腫の一例

演者 石井 優(昭和大・消化器内科)
共同演者 久保田 祐太郎(昭和大・消化器内科), 小西 一男(昭和大・消化器内科), 北村 勝哉(昭和大・消化器内科), 片桐 敦(昭和大・消化器内科), 村元 喬(昭和大・消化器内科), 矢野 雄一郎(昭和大・消化器内科), 小林 祥也(昭和大・消化器内科), 木原 俊裕(昭和大・消化器内科), 東條 正幸(昭和大・消化器内科), 佐藤 悦基(昭和大・消化器内科), 紺田 健一(昭和大・消化器内科), 新村 健介(昭和大・消化器内科), 田川 徹平(昭和大・消化器内科), 矢持 淑子(昭和大・臨床病理診断学), 塩沢 英輔(昭和大・臨床病理診断学), 滝本 雅文(昭和大・臨床病理診断学), 吉田 仁(昭和大・消化器内科)
抄録 症例は60歳代,男性.アルコール性慢性膵炎で当科に通院中,平成24年11月に行った上部消化管内視鏡検査にて,切歯から30cmの胸部中部食道に長径約15mm大の有茎性の隆起性病変を認めた.病変の表面は正常食道粘膜で覆われており,粘膜下腫瘍が疑われた.病変表面より鉗子生検を行ったが,粘膜下の腫瘍組織は採取できなかった.確定診断のため12月に超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)を施行した所,病変は長径約30mm大に増大していた.EUS-FNAでは十分量の検体が採取できず,やはり確定診断には至らなかった.このため診断的治療として,平成25年1月に同病変に対し内視鏡的粘膜切除術(EMR)を施行した.EMR時,有茎性の隆起性病変は,長径約50mm大まで増大していた.
病理組織所見では,病変表面の大部分は非腫瘍性の扁平上皮で覆われていたが,一部に高分化型扁平上皮癌を認めた.また,上皮下の間質内には大型の核を持つ紡錘形の異型細胞がびまん性・散在性に浸潤しており,癌肉腫と診断した.癌種成分から肉腫成分への移行像を認めており,旧規約(食道癌取扱い規約第9版)で,いわゆる癌肉腫に分類されていたものと考えられた.深達度は粘膜固有層にとどまっており,最終病理診断は,Carcinosarcoma, pT1a-LPM, ly0, v0, pHM0, pVM0であった.根治度Aであったが,癌肉腫は通常の扁平上皮癌と比べ悪性度が高く,T1症例であっても根治的な外科手術が推奨されるため,追加外科切除の説明を行ったが,患者さんが希望されず,その後は経過観察とした.
今回,短期間で急速に増大した経過を追え,最終的に内視鏡的に切除し得た食道癌肉腫の一例を経験した.内視鏡治療を行った食道癌肉腫の報告は少なく,文献的考察を加え報告する.
索引用語 癌肉腫, 食道