セッション情報 ポスターセッション(消化器内視鏡学会)

食道-症例2

タイトル 内P-536:

SSBE経過観察中に発生したバレット腺癌の2例

演者 葉梨 智子(東海大東京病院・外科)
共同演者 近藤 泰理(東海大東京病院・外科), 武智 晶彦(東海大東京病院・外科), 峯 徹哉(東海大付属病院・消化器内科), 千野 修(東海大付属病院・消化器外科), 島田 英雄(東海大大磯病院・外科), 小澤 壯治(東海大付属病院・消化器外科), 幕内 博康(東海大東京病院・外科)
抄録 症例1:68歳男性.胃潰瘍および逆流性食道炎にて定期的に内視鏡検査を受けている.当院では2005年より経過観察.内視鏡にて,全周性で後壁側1/4周がやや長いSSBEを認めた.PPIは内服していたが,逆流,炎症を繰り返し,2009年には右壁に新たな舌状の張り出しを認め,その下端近くで,時にびらんを生じ,扁平上皮の被覆や消退を繰り返していた.2012年11月内視鏡にて同部に潰瘍形成を認め,生検にて腺癌の診断となり,手術目的に外科紹介.しかし消化性潰瘍と考えられ,PPIにて加療後再検査行い,0-IIc型,M癌と診断し内視鏡治療を行った.病理組織診断は,高分化腺癌,pT1a-LPM,ly0 v0 であった.症例2:70歳男性.32年前逆流性食道炎を発症し,SSBEも生じてほぼ毎年内視鏡を施行している.当院では2006年より経過観察.右前壁に1cm,右後壁に2cm程度の舌状SSBEを認めている.右後壁舌状SSBE下端(SCJ直上)は,びらんを認めた年もあり,炎症のためか扁平上皮島の見え方が毎年わずかに異なっていた.2013年2月同部に白苔を有する発赤陥凹面を認め,0-IIc型,M癌と診断.生検でも腺癌と診断され内視鏡的切除施行.病理組織診断は,高分化腺癌,p-T1a-SMM,ly0 v0であった. 2例ともPPI内服継続していたが,逆流が完全には予防できておらず,逆流にさらされ易いSSBE下端に癌が発生したと考えられる.長期に経過を見る際,炎症を繰り返している部位がある場合には,同部を特に注意して観察する必要があると思われた.文献的考察を加え報告する.
索引用語 バレット食道癌, 逆流性食道炎